※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
タイムカードの計算は、労働時間や割増賃金を正確に把握するための重要な業務です。本記事では、エクセルや電卓を活用して無料でタイムカード計算を行う方法を解説します。労働基準法を踏まえた注意点や効率的な計算方法についても説明しているため、給与計算が正確かつ簡単に進められるようになります。さらに、無料で利用できる勤怠管理システムも紹介していますので、計算業務の効率化の参考にしてください。
目次
- タイムカード計算の基本とは
・労働時間は15分単位で切り捨てない
・時間外では割増賃金が発生する - 無料でできるタイムカード計算方法
・エクセルで集計する
・電卓を使って計算する - タイムカードに関する注意点
・入力・計算ミスを確認する
・定められた期間は保管する - 無料の勤怠管理システムを使えばもっと効率的!
・Square シフトでスタッフの勤務を丸ごと管理 - まとめ
タイムカード計算の基本とは
タイムカード計算の基本は、正確な労働時間の把握と適切な割増賃金の算出です。日本の労働基準法では、時間外手当や深夜手当の適切な支払いが義務付けられています。以下では、計算時に押さえるべきポイントを詳しく解説します。
労働時間は15分単位で切り捨てない
労働時間は1分単位で計算することが原則です。賃金は「通貨で直接労働者に全額を毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければならない」(労働基準法第24条)1とあります。賃金を「全額」支払うということは、労働時間の端数を切り捨てず、1分単位で計算することが原則になります。また、それに伴い正確な労働時間を記録しなければなりません。
タイムカードを手作業で記録・計算していた時代には、分単位での計算が困難だったため、15分や30分など、区切りの良い単位を採用していた職場もあるでしょう。なかには過去の慣例として、15分単位や30分単位の切り捨てがそのまま採用されていることがあるかもしれません。しかし、現在の労務管理ではそのような取り扱いは行われていません。
時間外では割増賃金が発生する
労働基準法において、一定の労働時間を超える場合は、1時間当たりの賃金を基準に割増賃金を支払う義務があります。給与を計算する際は、これらの手当ても考慮しなければなりません。
- 法定時間外残業:賃金の25%以上
- 深夜労働:賃金の25%以上
- 休日労働:賃金の35%以上
法定時間外残業や休日労働と深夜残業は合算されるため、受け取る給与もそれだけ多くなります。
例:法定労働日で、所定労働時間が9:00~17:00の場合(休憩1時間、時給2,000円)
労働時間 | 割増賃金計算方法 | 労働区分 | 給与 |
17:00~18:00 | 1時間当たりの賃金 × 1.00 × 1時間 | 法定時間内残業 | 2,000円 |
18:00~22:00 | 1時間当たりの賃金 × 1.25 × 4時間 | 法定時間外残業 | 10,000円 |
22:00~翌日2:00 | 1時間当たりの賃金 × 1.50(1.25 + 0.25)× 4時間 | 法定時間外 + 深夜労働 | 12,000円 |
例:法定休日に10:00~23:00労働させた場合(休憩1時間、時給2,000円)
労働時間 | 割増賃金計算方法 | 労働区分 | 給与 |
10:00~22:00 | 1時間当たりの賃金 × 1.35 × 11時間 | 休日労働 | 29,700円 |
22:00~23:00 | 1時間当たりの賃金 × 1.60(1.35 + 0.25)× 1時間 | 休日労働 + 深夜労働 | 3,200円 |
割増賃金を適切に支払うことは、法令遵守に加えて従業員のモチベーション向上や信頼関係の構築の面からも重要です。
無料でできるタイムカード計算方法
タイムカード計算は、エクセルや電卓を使うと無料で管理が可能です。ここでは効率的な計算方法を解説します。
エクセルで集計する
エクセルは、タイムカードの計算に非常に役立ちます。勤怠管理システムを導入する必要がなく無料で利用でき、管理すべきことに応じて関数やマクロを組み込んで自由に編集することも可能です。タイムカードのような紙保管も不要で、保管場所の削減やファイルの共有にも手間がかかりません。
また、無料で配布されているエクセルのテンプレートを活用するのもおすすめです。テンプレートは、あらかじめ時間外労働や深夜労働など、各種手当の計算機能が組み込まれているため、作業の効率化が図れます。また、エクセルデータを出力することでタイムカードデータの一元管理や給与計算との連携もしやすくなります。
電卓を使って計算する
タイムカード計算は、電卓で行うこともできます。なかには時間の計算に対応した電卓もありますが、一般的な電卓でも時間計算が可能です。ただし打ち間違いなどを考慮して補助的に用いるのがおすすめです。
電卓で勤務時間を計算する際は、「1234」のうち上二桁の「12」を時間、下二桁の「34」を分とみなして計算できます。勤務時間がわかれば、休憩時間を差し引いたり残業代をかけたりして給与計算が可能です。
①出勤時間9:00、退勤時刻19:00の場合の勤務時間計算
退勤時刻「1900」から出勤時刻「900」を引く
電卓:1900-900=1000
このとき、勤務時間は10時間です。
②出勤時間8:30、退勤時刻19:00の場合の勤務時間計算
退勤時刻「1900」から出勤時刻「830」を引く
電卓:1900-830=1070
この場合、計算結果「1070」の下二桁「70」は、60を超えているため、時と分の調整として下二桁から40を引く必要があります。
電卓:1070-40=1030
このとき、勤務時間は10時間30分です。
タイムカードに関する注意点
タイムカードの取り扱いには、計算ミスの防止や、データの正確な保管が重要です。以下で詳しく見ていきましょう。
入力・計算ミスを確認する
タイムカードの計算でよくあるミスとして、入力エラーや計算間違いが挙げられます。これらのミスは、従業員への給与支払いの遅れや法令違反につながる重要な問題です。
エクセルなどでタイムカードを記録する場合には、関数のミスや転記漏れなどを起こさないように、データを慎重に扱う必要があります。計算前に入力内容を必ず確認し、ミスがあれば即座に修正する仕組みを導入することが大切です。
また、従業員にタイムカードで打刻する習慣がない場合、いつ働いたのか明示できなくなってしまいます。タイムカードが打刻できない場合は別の方法で勤怠を伝えるなど、打刻漏れの対処方法を検討しておくことも大切です。
さらにデジタルタイムカードや勤怠管理システムを活用すれば、計算ミスを大幅に減らせます。これにより、労働時間の自動集計や手当の正確な計算が可能になり、事務作業の効率が向上します。
定められた期間は保管する
タイムカードは、労働者名簿や賃金台帳などと同様に、労働関係に関する重要な書類として5年間の保管が義務付けられています(労働基準法第109条)2。この保管期間は、従業員と労働時間や給与計算に関するトラブルが発生した際に、証拠として用いられます。また、労働基準監督署の調査対象になることがあります。さらに助成金の申請に活用する余地もあります。
紙のタイムカードの場合は、保管場所の確保が必要です。一方、デジタルタイムカードであれば、クラウド上で安全に保存し、必要に応じて迅速にデータを取り出せます。適切な管理を行うことで、法令遵守と業務効率化を同時に実現できます。
無料の勤怠管理システムを使えばもっと効率的!
ここまで無料でタイムカードを記録する方法を紹介してきましたが、無料の勤怠管理システムを導入すればタイムカード計算やシフト管理が簡単に効率化できます。無料の勤怠管理システムとして小売店や飲食店に最適なのが、Square POSレジに付帯している勤怠管理機能です。各従業員は個々に割り当てられたパスコードを使って、POSレジアプリから出勤と退勤を記録できます。
Square シフトでスタッフの勤務を丸ごと管理
出退勤の管理から一歩進んでシフト管理も効率化したい場合におすすめなのが、Square シフトです。シフトの作成・公開、残業や休憩時間の管理、人件費レポートなど、快適な職場環境の構築をサポートするシステムです。無料プランでは登録者を含む最大5名までがシフト機能を利用できるため、トライアルや小規模なメンバーでの活用に最適です。
Square シフトのタイムカード機能では、スタッフが出勤を記録することでタイムカードが自動生成されます。状況に応じてタイムカードの編集やメモの追加ができるほか、タイムカードのデータを給与管理データに出力して効率化を図ることも可能です。加えて、専門のSquare スタッフアプリを使えば、タイムカードや予定勤務時間などさまざまな情報をいつでも確認共有できます。
また、シフトの作成・公開機能では、スタッフの予定を踏まえて簡単にシフトが割り当てできます。さらに従業員向けの通知機能で、自分の勤務場所と時間を把握可能です。
まとめ
給与計算を行う際は、労働時間や割増賃金を考慮した正確な管理が求められます。無料でタイムカード計算を行う方法には、エクセルや電卓の活用が便利です。また、勤怠管理システムを利用すれば、計算の効率性と正確性を一層向上させることができます。本記事を参考に、目的に合ったツールと方法を選び、タイムカード計算の手間を大幅に削減しましょう。
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執筆は2025年1月29日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash