POSレジ導入に使える補助金・助成金、インボイス制度に対応したものも紹介

※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。

ビジネスの効率化やコスト削減のためにPOSレジが必要だと考えるものの、初期費用の負担がネックで導入をためらう事業主も少なくありません。近年ではコンパクトなPOSレジシステムも増えており、キャッシュレス決済の急速な普及もあってPOSレジの利用は身近になりつつあります。

とはいえ、効果的にPOSレジを導入して業務効率化に役立てるには、タブレット端末、ソフトウェア、周辺機器など、導入時にまとまった資金が必要です。

本記事では、POSレジの導入に使える金銭的な支援制度とその申請手続き、申請する際の注意点について説明します。

目次


POSレジ導入に使える支援制度

POSレジを導入したい中小規模の事業主が利用できる代表的な支援制度として、以下の三つの支援制度があります。

ここではそれぞれの制度の概要を紹介し、次項以降では申請手続きについて説明します。

IT導入補助金

IT導入補助金は中小企業庁が管轄する補助金で、2017年から始まりました。中小企業や自営業者の業務のIT化を進めるため、ソフトウェアやハードウェアの導入を支援しています。

デジタル化を目的としたITツールの導入が対象

IT導入補助金は、DX推進を意識した経営支援を趣旨とし、中小企業や自営業者がデジタル技術を活用した業務の効率化や経営課題を解決するためITツールを導入する際に1/2から最大4/5を補助する制度です。

補助率や上限額、対象となる経費項目が決まっているため、制度の内容に沿った申請を行う必要があります。
IT導入補助金には、次の五つの枠があります。

  • 通常枠:中小企業や自営業者が自社の課題を解決するためにITツールを導入する費用の一部を補助

  • インボイス枠(インボイス対応類型):会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフトやパソコンなどの導入費用の一部を補助することで、インボイス制度に対応した取引のデジタル化を推進

  • インボイス枠(電子取引類型):インボイス制度に対応した受発注システムを導入する場合の補助金。発注者が受発注ソフトを導入し、受注者の中小企業や自営業者が無料で利用できるシステムの場合、その導入費用の一部を補助

  • セキュリティ対策推進枠:サイバー攻撃によるリスクを減らすためのツールやサービスを導入するための費用の一部を補助

  • 複数社連携IT導入枠:業務上のつながりのある複数の中小企業や、商店街など特定の商圏に属する中小企業や自営業者が連携してITツールを導入する場合の費用を補助

POSレジの導入は「インボイス対応類型」枠で

インボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス制度への対応に特化しています。大きく分けて、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトの導入と、パソコンやタブレットなどハードウェアの導入が対象です。導入時のコンサルティングやアフターフォローなどのサービスも対象となります。

●インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトの導入
補助対象になるのは、ソフトウェアとデータ連携ツールやセキュリティツールなどのオプション、導入のコンサルティング費用や研修費用、保守費用などです。

  補助率 補助額 補助条件
中小企業 3/4以内 50万円以下 会計・受発注・決済のうち1機能以上
小規模事業者 4/5以内 50万円以下 会計・受発注・決済のうち1機能以上
中小企業・小規模事業者 2/3以内 50万円超〜350万円以下※ 会計・受発注・決済のうち2機能以上

※補助額が50万円を超える場合、50万円以下については3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超については2/3が適用対象

●ハードウェアの導入
補助対象になるハードウェアは、パソコン・タブレット・プリンター・スキャナ・複合機・POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機です。POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機においては補助対象となるソフトウェアの搭載が必要です。

  補助率 補助額
PC・タブレット等 1/2以内 10万円以下
レジ・券売機等 1/2以内 20万円以下

●導入時のコンサルティング・アフターフォローサービス
補助金の申請にあたっては、IT導入支援事業者(ITベンダーやサービス事業者)と調整しつつ、過不足なく書類などを揃え、必要な機材・ソフトを実装、運用していく必要があります。IT技術に詳しくない者にはハードルが高いことも多く、ITツールの導入コンサルティングやアフターフォローも補助の対象になっています。

業務改善助成金

業務改善助成金は、中小企業や小規模事業主が生産性向上のための設備投資を行い、事業所内の最低賃金の引き上げた際に費用を一部助成する制度です。設備投資と賃金の引き上げがセットで実行されることで、助成金の対象となります。

生産性を向上させる設備が対象

助成の対象となるのは、生産性向上・労働能率のアップにつながる設備投資で、POSレジは対象の一つとなっています。申請時には、助成金の趣旨である生産性向上のためのPOSレジ導入であることに重点をおくとよいでしょう。

従業員がいる事業者のみ利用可能

業務改善助成金は、賃金の引き上げの実現を目的とするため、従業員が1人以上いる事業者が申請できます。賃金の引き上げ額に応じて「30円コース」(30円以上の賃金引き上げ)、「45円コース」「60円コース」「90円コース」の四つの区分があり、賃金を引き上げる労働者の数によって助成上限額が変わります。助成率は満たしている要件によって変わりますが、いずれの場合でも助成率は4分の3以上と他の支援制度と比べて高く設定されています。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金の一般型は、小規模事業者を対象とし、持続的な経営に向けて取り組む販路開拓・生産性向上を支援する制度です。

小規模事業者持続化補助金の補助対象となる小規模事業者の要件の従業員数は、商業・サービス業では5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他では20人以下とされています。医者・個人農業者・創業予定者などは補助対象になりません。

POSレジによる売上管理の効率化が補助対象

小規模事業者持続化補助金には、通常枠と特別枠があります。POSレジの導入は、売上や在庫管理業務の効率化により生産性を向上させるものとして、通常枠の「機械装置等費」にあたります。補助の上限額は50万円で、対象となる費用の3分の2以内です。

インボイス特例の要件を満たしている事業者は、上限額が50万円上乗せされ、100万円になります。申請時には、「インボイス特例の設定」にて、該当欄へチェックを入れ、必要書類をそろえましょう。

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災害支援枠もある(令和6年能登半島地震)

令和6年能登半島地震では多くの小規模事業者が被災しました。小規模事業者持続化補助金(災害被災枠)は、被災区域の事業者の再建取組に要する経費の一部を補助することを目的としています。

対象事業者は、石川県・富山県・福井県・新潟県で令和6年能登半島地震により被害を受けた小規模事業者です。店舗や会社の資産への直接的な被害だけでなく、売上減少などの間接的被害も対象となります。補助金の申請にあたっては、被害を証明する公的証明の添付(コピー可)が必要になります。

小規模事業者持続化補助金の一般型とは、ホームページが異なります。

IT導入補助金の申請方法

IT導入補助金のホームページには、補助金の申請手続きについて説明したページがあります。

参考:申請・手続きフロー(IT導入補助金2024)

申請の最初のステップとして、交付規程と公募要領をしっかり読み込みましょう。次に、IT導入補助金制度で「IT導入支援事業者」に登録されているITベンダーやITサービス事業者にPOSレジの導入について相談します。

申請の準備と並行して、認証システムgBizIDプライムのアカウントを取得しましょう。合わせて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のSECURITY ACTIONを宣言します。IT導入補助金のホームページの説明では、gBizIDプライムのアカウントは発行されるまでに2週間程度かかると説明されているため、余裕を持って手続きをすることをおすすめします。

IT支援事業者と協力して、必要な情報情報の用意と入力を行いましょう。その後、SMS認証による本人確認を行い、交付申請を事務局へ提出します。

申請が採択されたら、POSレジの発注や契約、支払いを行います。POSレジ導入後、導入を証明する書類を提出し、補助金が交付されます。

最後に、IT導入支援事業者と事業実施効果報告を提出することも忘れないでください。

業務改善助成金の申請方法

業務改善助成金について説明した厚生労働省のホームページの中ほどに、申請手続きの説明があります。

申請者は、交付申請書と事業実施計画書を作成し、都道府県労働局に提出します。審査を経て助成金の交付が決定します。申請内容に沿って計画(賃金の引き上げ・設備の導入)を実施し、労働局に報告書を提出します。労働局で審査が行われ、適正と認められれば交付額が確定し、助成金の支払いが実施されます。

小規模事業者持続化補助金の申請方法

小規模事業者持続化補助金について説明したホームページに、申請手続きの説明があります。

申請者は、経営計画書と補助事業計画書を作成します。地域の商工会議所または商工会に提出し、「事業支援計画書」の交付を受けます。入力した申請内容を印刷して必要書類等を添付の上、地域の商工会議所で「事業支援計画書」の発行依頼を行い、交付を受けましょう。書類が完成したら電子または郵送で申請書を送付します。事業所が所在する地域ごとに申請先が異なるので気をつけましょう。

審査を経て補助金の採択が決まったらPOSレジを導入し、利用を開始します。期限内に実績報告書などを提出し、確認を受け、確認が終わり次第補助金を請求することで、補助金が支払われます。

支援制度を利用するときの注意点

実際に申請を行う場合、各制度のウェブサイトで最新情報を入手してください。IT導入補助金は年度ごとにウェブサイトが異なりますので、必ず該当する年度のものを確認するようにしましょう。小規模事業者持続化補助金に関しては、商工会と商工会議所でウェブサイトが異なるため、自分の事業所がどちらに当てはまるのかを確認してから該当するウェブサイトをチェックしましょう。

年度や制度によって支援の対象者や対象品目、条件が異なることもあるかもしれません。過去に類似の補助金や助成金を受けている場合は、支援の対象外となっている可能性もあります。

申請の手段にも注意が必要です。電子申請だけの場合もあります。各制度の要件を読み込んでもわからない点があれば、事務局などに問い合わせて確実な内容を記載しましょう。書類審査が厳密な物が多く、独自の解釈で書類を作成すると採択される可能性が低くなってしまうかもしれません。地域の商工会議所・商工会などに相談してみてもよいでしょう。

申請にあたっては、手続きの流れを理解し、いつからPOSレジを利用し始めたいのか考え、締め切りまでに余裕を持って書類やデータを準備するのが鉄則です。関係機関や支援機関とのやりとりや、申請に必要なアカウントを取得するのに思いのほか時間がかかることがあります。

余裕を持って申請するのと合わせて、手続きの順番を間違わないことも重要です。多くの助成金や補助金では、審査後にPOSレジを契約する流れになっています。審査結果が確定する前に先走ってPOSレジを導入するといったことのないように注意しましょう。

本記事で紹介した制度では、助成金や補助金が支払われるのは、実際にPOSレジを導入したあとです。金銭的な支援を受けられるとはいえ、いったんは事業者側で費用を支払う必要があります。POSレジの導入費用は以前に比べて手頃になりましたが、タブレット端末や周辺機器、ソフトウェア一式を契約するとなると、まとまった出費になります。資金繰りの観点からも補助金は導入後に支払われる点に注意しましょう。

導入した後にも対応が必要な場合があります。報告義務を課す制度も少なくありません。助成金や補助金を受け取ったら終わりではなく、きちんと義務も果たしましょう。また、当たり前ですが、申請書には真実を記載しなければなりません。報告義務を怠ったり虚偽の記載をしたりすれば、事業者としての信頼を問われるだけでなく、厳しい罰則が科されるケースもあり、制度の存続にも影響をおよぼしかねません。

支援制度についてもっと知りたいときには

助成金、補助金といった行政の支援制度は、その時々の社会情勢や地域事情、経済事情に合わせて更新されます。本記事で紹介したものだけでなく、都道府県や市区町村など自治体による支援制度の中にも、POSレジの導入に利用できる助成金・補助金が数多く存在する可能性があります。

どのような支援制度があるか最新の情報を知りたい人は、地域の商工会議所や商工会、よろず支援拠点に連絡をとってみるとよいでしょう。若手や女性経営者、特定領域の支援など、自身やビジネスの状況に合った支援制度を教えてもらい、POSレジの導入に利用できるかもしれません。

  • 日本商工会議所
  • 全国商工会連合会
  • よろず支援拠点全国本部

費用を抑えてPOSレジを導入できるSquare

助成金や補助金制度をうまく活用して初期費用を抑えることが、POSレジの効果的な導入には有効です。本記事で紹介した支援制度をはじめ、事業所の所在地が公開する各種制度をうまく活用して、売上管理や在庫管理などの効率化に向けた一歩を踏み出しましょう。

一方で、行政の支援制度は、書類作成や申請手続きの煩雑さ、実際に支援金を受け取るまでの期間の長さから資金確保の必要などがネックとなって、POSレジなどの設備導入にハードルを感じ、躊躇しがちです。先行して高額なハードを導入することが難しい場合、アプリからPOSレジの導入を始めてみることをおすすめします。

キャッシュレス決済サービスSquareのPOSレジアプリは無料で導入できます。POSレジの利用に関しては費用の負担はありませんが、合わせてキャッシュレス決済も導入する場合には決済手数料が発生します。Square POSレジアプリは簡単な設定で始められ、面倒な手続きやシステムの専門的な検討など、手間も時間も初期コストもかかりません。

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さらに、販売時のレジ管理だけでなく、売上管理在庫管理、商品データや顧客データの管理も一元的に行うことができるため、相乗効果となって業務が効率化し、次のビジネスへと成長・拡大させるカギにもなります。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は​2021年7月12日​時点の​情報を​参照しています。2024年6月18日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。