働き方が多様化している近年、会社員やパート、アルバイトといった雇用される働き方だけでなく、自身で開業して働く個人事業主やフリーランスが増えてきています。働く場所の選択肢もさまざまで、コワーキングスペース、カフェ、自宅などそれぞれの働き方に応じて働く場所を選ぶことができるようになってきました。今回は、その中でも自宅サロンの開業についてご紹介します。
目次
- 自宅サロンとは
・おうちサロンとの違い
・プライベートサロンとはどう違う?
・自宅サロンの種類 - 自宅サロンのメリット
・時間の制約が少ない
・開業資金が少ない
・家事や育児と両立しやすい - 自宅サロンのデメリット
・立地を選べない
・仕事とプライベートの区別が難しい
・周囲の理解が必要 - 自宅をサロンとして開業するには
・事業計画書を作成する
・開業資金を用意する
・什器をそろえる
・内装を整える
・許可や届出を申請する
・集客を行う
・キャッシュレス決済に対応する
・予約システムを導入する - 自宅サロン開業の注意点
・契約を確認する
・近所へ挨拶をする
・家族の理解を得る
・セキュリティーに配慮する
・キャンセルに備える - 自宅サロン開業にはSquareがおすすめ
・Square 予約でお客さまのとりこぼしを防げる
・事前決済で無断キャンセル対策もできる - まとめ
自宅サロンとは
自宅サロンとは、自宅や居住スペースをサロンとして開放し、お客さまにサービスを提供する個人経営のビジネスのことです。自宅を利用してビジネスをしたいと考えている人に適している方法といえるでしょう。また、自宅サロンを開き人気を博している女性を差すサロネーゼという言葉もあります。自分の好きなことを仕事にしたい人や、育児や介護などのために仕事量をコントロールしたい女性が自宅サロンを開業することが多いようです。本業の傍ら週末のみサロンを開いている場合もあるでしょう。
なお、副業として自宅サロンの開業を考えている場合は、本業で勤めている会社の就業規則の確認が必要です。
おうちサロンとの違い
おうちサロンとは、その名の通り、自分のおうちで営業する小さな規模のサロンのことです。一軒家やマンションなど自宅の一部を使ってサービスを提供するビジネス形態で、自宅サロンの同義語としてよく使われます。普段は生活している部屋を、お客さまが来た時だけサロンスペースに早変わりさせるというオーナーもいるようです。
プライベートサロンとはどう違う?
マンションやビルの一室を借りてサービスを提供する小規模サロンは、よくプライベートサロンと呼ばれます。マンションやビルで個人名の表札の代わりに、ヘアサロンやネイルサロンの看板がドアにかかっているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。自宅サロンをプライベートサロンと呼ぶ場合もありますが、プライベートサロンの場合、自宅とは完全に分けてビジネス専用の場所として部屋を借り、営業しているケースが多いです。集客しやすい場所や便利な場所を選んで賃貸できるため、駅の近くや繁華街などで特に多く見かける形態です。
自宅サロンの種類
自宅でできる業種・アイデアは無限大です。サロンの規模や営業できる時間といった条件に合わせて、自身の特技を最大限に生かせる領域を選んでみましょう。下記はビジネスアイデアとしてのほんの一例です。
- マッサージ、アロマトリートメントなどのリラクゼーション系
- エステ、まつ毛エクステ(まつエク)、脱毛、痩身リンパなどの美容施術
- ネイル、ヘアサロン、セットサロンなどの美容サービス
- 料理教室、フラワーアレンジメント、手芸教室、ものづくり、楽器などのレッスン系
- ビジネス、恋愛、教育、ライフスタイルなどのコンサルティング
- ベビーマッサージ、産後ヨガ、育児アドバイス、幼児リトミックなどのママと子ども向けサービス
- 占い
など
自宅サロンのメリット
自宅サロンの開業にはどのようなメリットがあるのか、見ていきましょう。
時間の制約が少ない
自宅サロンの場合、オフィスや教室がある場所に通う必要がありません。また、完全予約制でレッスンを提供する場合、予約が入っていない時には家事など他の用事を済ませることもできます。仕事と家庭を両立しやすいといえるのではないでしょうか。
開業資金が少ない
自宅を開業場所とするため、他に場所を借りるための賃料がかからないうえに、改装費および什器購入費を抑えることもできます。新しい物件を最初から見つけるよりも、開業資金の負担が少なく済むでしょう。
家事や育児と両立しやすい
自宅サロンの場合、子どもの夏休み期間はクローズにするなど、家族のスケジュールに合わせて働くことができます。柔軟にスケジュールを組めるので、家事や育児と両立しやすいのも、自宅サロンの魅力の一つでしょう。
自宅サロンのデメリット
一方、自宅にお客さまを呼ぶことには次のような懸念点もあります。
立地を選べない
自宅サロンは、居住地のため立地を選ぶことができません。住宅街にある場合は、なかなか人目につきづらく、集客面で苦労するかもしれません。また、駅から遠かったり、不便な場所にあったりすると、送迎が必要になることも考えられます。
仕事とプライベートの区別が難しい
お客さまへの施術やレッスンが終わったあとは、売上管理などの事務作業が待っています。自宅だといつでも仕事ができてしまう環境であるため、しっかりと仕事とプライベートの区別をつける必要があります。
周囲の理解が必要
自宅というプライベートな空間を仕事場として使う場合、家族や同居者からの理解を得ることが必要となります。同居者が他人を自宅に入れることに抵抗を感じていたら、自宅サロン開業は難しいかもしれません。開業に理解が得られた場合でも、夕方以降はレッスンをしないなど営業時間を決めたり、お客さまが出入りできる部屋を限定したりするなど、あらかじめ取り決めをするようにしましょう。
また、マンションなどの共同住宅に住んでいる場合、管理会社や近隣の人たちにも自宅サロンを開くことを伝えておきましょう。居住者ではない人が頻繁に出入りされることを懸念する場合もあるためです。
自宅をサロンとして開業するには
自宅サロンの開業を決めた後は、どのようなことから着手すればいいのでしょうか。
事業計画書を作成する
事業計画書は、事業をどのように運営していくのかを記載した計画書です。自宅サロンは少額の開業資金で始められることから、金融機関から借り入れをせずにスタートさせる人も少なくないでしょう。しかしながら、事業のあり方や自分のサロンの「強み」を明文化しておくことで、ブレないサロン運営の一助になるでしょう。
開業資金を用意する
自宅とはいえ、サロンの開業には機材や備品、場合によっては内装工事も必要になるでしょう。そのほか、消耗品費や広告宣伝費、開業後の運転資金なども考慮して、十分な金額を用意しましょう。自宅サロンの開業に必要な費用は主に以下のとおりです。
内装工事
内装工事は、大掛かりなものは必要ありません。壁紙を変えたり、カーテンや照明を変えたりするだけであれば、数万円から数十万円程度で抑えられることが多いようです。
什器・備品代
エステサロンやまつ毛エクステンションサロン(以下、まつエク)で使用するエステベッドはおおよそ5万円から10万円くらいを見積もっておきましょう。エステマシンを購入するとなると数十万円、ものによっては100万円と高額になることもあるようです。料理教室で食器やカトラリーなどを用意するなら、こだわり具合にもよりますが、数万円から数十万円が必要です。料理教室やフラワーアレンジメント教室の場合、材料費や消耗品費が数万円かかるでしょう。
光熱費
業種にかかわらず、電気、ガス、水道、インターネットといった光熱費は毎月必ずかかります。月数万円を見ておくとよいですが、部屋の面積、レッスンやサロンの開催頻度、参加者の人数、季節によって月10万円を超えることもあるため、余裕を持って計算しましょう。
広告費
集客を行うのに、効果的な手段として考えられるのが広告です。リスティング広告をはじめとするインターネット広告のほか、チラシのポスティングや新聞の折り込みチラシ、地域のフリーペーパーへの出稿など、さまざまな広告の方法があります。SNS広告の相場は月に2万円から3万円といわれています。
什器をそろえる
どのような自宅サロンを開業するのかにもよりますが、エステやまつエク、マッサージといった業種ではエステベッドやマッサージベッドが必要になります。ネイルサロンの場合は施術用のテーブルと椅子を用意しなくてはなりません。ほかにも、施術で使うクリームやジェル、薬剤などの消耗品とそれらの備品を保管する棚、エアコン、お客さまがくつろげるソファなど、サロンにはさまざまな設備や什器の準備が考えられます。
料理教室であれば、人数分の食器やカトラリー、調理器具などが必要になります。フラワーアレンジメントであれば、レッスンに必要なバスケットやオアシス、生花をそろえる必要があるでしょう。
内装を整える
自宅の場合、生活感のある物を排除したり、インテリアや小物を変えてみたりといった工夫も大切です。場合によっては内装工事が必要になることもあるでしょう。
許可や届出を申請する
自宅サロンの開業にあたっては、まつエクの場合は美容師法で定められた美容行為にあたるため、美容師免許と保健所への届出1が必要になります。ほかにも、医療目的のマッサージなどは国家資格2が必要になり、無資格での施術は違法となります。なお、エステやもみほぐしなどのリラクゼーションの場合は特に必要はありません。知らなかったでは済まされませんので、必ず開業前に資格や要件についてしっかりと確認しましょう。
集客を行う
自宅サロンをオープンしただけでは、なかなかお客さまに足を運んでもらうのは難しいでしょう。住宅街にサロンを構えていて、看板も控えめであればなおさらです。SNSでオープンを告知したり、近所にチラシを配ったり、友人知人に口コミをお願いしたりして、集客に努める必要があります。
数あるサロンから選んでもらうためには、自分がターゲットとする顧客の年代や年収、家族構成や居住地域などを細かく設定したうえで集客手段を考えることも大切です。
キャッシュレス決済に対応する
会計は、現金だけでなくキャッシュレス決済にも対応できるよう決済用端末を用意しておきましょう。クレジットカードやQRコード、電子マネーなどのキャッシュレス決済に対応できれば、お客さまの利便性も向上します。
キャッシュレス決済を導入するには、決済代行会社を利用するのが便利です。複数のクレジットカードブランド、QRコード、電子マネーが一つの契約で導入できます。たとえば、Squareが提供しているICカードリーダー(税込4,980円)は、手頃な値段で購入でき、普段お使いのスマートフォンやタブレット端末とBluetooth接続することでクレジットカードやQRコード、電子マネーでの決済が受け付けられます。
予約システムを導入する
アプリやブラウザから24時間365日予約ができる予約システムは、お客さまの利便性を高めます。また、サロン運営者にとっても、「施術中に電話応対できなかったために、新規のお客さまをとりこぼしてしまった」など、機会損失の軽減が期待できます。費用や機能を比較しながら自分のサロンに合った予約システムを選びましょう。
自宅サロン開業の注意点
契約を確認する
自宅サロンを開業する場所が、所有する一軒家であれば問題ありませんが、集合住宅の場合は、たとえ自己所有であったとしても、管理規約の関係で開業できない場合もあるので注意が必要です。また、賃貸物件を居住用として借りている場合、原則サロンの開業はできません。住居兼事務所・店舗として使える物件であればサロンの開業はできますが、「事務所はOKでも、店舗はNG」という場合もあるので、契約内容をしっかり確認しましょう。
近所へ挨拶をする
自宅サロンを開業するとなると、近所の人たちにとっては見慣れない人たちが出入りすることになり、不安を覚えるかもしれません。自宅サロンを開業した旨を伝え、理解を求めましょう。
家族の理解を得る
自宅サロンは、自宅にお客さまが出入りすることになります。家族と同居している場合は、家族のプライバシーに多少なりとも関わってくることになるので、しっかりと理解を得ることが必要です。
セキュリティーに配慮する
自宅サロンを開くということは、自宅の住所をお客さまに公開することになります。また、自宅にさまざまな人を招き入れるのなら、家の防犯にも気を遣う必要があります。
レッスン予約が確定するまでは住所の詳細は知らせず、「自宅サロンのため、詳細な住所はご予約確定後にご案内いたします」と断りを入れることも可能でしょう。また、お客さまがレッスンに来た際に自宅の外観などを撮影することも考えられます。そのままSNSなどに投稿するとセキュリティー上問題となる場合があるので、写真撮影に関するルールもあらかじめお客さまと決めておくことをおすすめします。
キャンセルに備える
たとえば、料理教室であれば当日までに食材を用意する必要があります。フラワーアレンジメントであれば、レッスン用の生花を準備していることでしょう。万が一お客さまが当日来られなくなった場合、材料費が無駄になり損失となります。そのようなことを避けるためにも、レッスン料を事前に受け取る事前決済を用意しておくと安心かもしれません。
自宅サロン開業にはSquareがおすすめ
Squareなら一つのアカウントでキャッシュレス決済も、メールで送れる請求書も、予約システムも利用できます。
Square 予約でお客さまのとりこぼしを防げる
Square 予約なら、無料もしくは低価格で導入できるだけでなく、SNSの予約機能と連携もしているため便利です。お客さまの利便性が高まるだけでなく、サロン運営者にとっても、休日や夜間、施術中など直接応対ができない時間帯の予約のとりこぼしを防げます。

予約管理はSquare 予約で
Squareの予約管理は無料から導入でき、事前決済はもちろん、有料プランの場合はキャンセル料も取れるので、ノーショー対策もできます。専用アプリでも、お使いのブラウザでも、場所を問わず、どこでも予約の状況を確認、調整できます。
事前決済で無断キャンセル対策もできる
料理教室やフラワーアレンジメントなど、事前に材料の準備が必要なサロンの場合は、お客さまの突然のキャンセルによる損害を防止するためにも、事前決済の導入を検討してみましょう。メールで送れるSquare 請求書を使えば、参加費を事前に回収できます。Square 請求書は無料(※)で何通でも送ることができますが、キャンセルポリシーを請求書に明記するメモ欄の追加など、細かなカスタマイズには有料プランの利用がおすすめです。
※クレジットカード決済ごとに発生する決済手数料は除く
まとめ
自宅サロンは自由に営業時間を設定できたり、家庭との両立がしやすかったりと多くのメリットがある半面、居住空間を提供することからセキュリティーに配慮したり、家族や近所の人たちの理解が必要であったりというデメリットもあります。また、いざ開業したら終わりではなく、生徒や参加者に長い期間通ってもらえるように、また他の教室との差別化を図るためにも、レッスンの内容にバリエーションを持たせるなど弛まぬ努力が必要でしょう。
自宅サロン開業は決して簡単なことではありませんが、得るものは多くあります。もし迷っているならば、ぜひこの記事を参考に準備を始め、思い切ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2017年10月5日時点の情報を参照しています。2025年3月14日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。 Photography provided by,Unsplash