憧れの本屋開業!必要な資格や資金、仕入れ方法を解説

本の虫にとって、本屋の経営は夢の一つかもしれません。好きな本を棚に並べる喜び、新しい本にいち早く触れられる幸せ、本を通じてお客さまと交流する時間など、自分だけの本屋を持つことには魅力がたくさんあるでしょう。

今回は、本屋を開業したい人に向けて、本屋を開業するために必要な手続きや費用、開業までの流れや人気店になるうえで取り組みたいことなどを解説します。

目次


本屋の開業に役立つ基本知識

ここでは書店員の経験などがなくても、本屋の経営について少しでもイメージできるよう、ビジネスの基本を解説します。

本屋の主な仕事内容

書店経営者のおおまかな仕事内容は書籍や雑誌を仕入れて、販売することです。言葉でいうとシンプルですが、それに伴うさまざまな業務が発生します。大きくは以下の業務が挙げられます。

  • 書籍や雑誌の発注
  • 書籍や雑誌の在庫管理、返品
  • ターゲット層の分析
  • 売上分析
  • イベントやキャンペーンの企画
  • 書籍の陳列、並べ替え
  • POPの作成
  • 接客、予約受付
    など

どんな書籍を販売すべきかを考えるうえで、売れ行きなどをもとにターゲット層の関心や興味を分析することは欠かせないでしょう。そのほかにもどんな並び順にするか、お客さまの関心をそそるにはどんなキャンペーンやイベントを実施したらいいかなどを日々、練っていきます。

本屋の種類

近年では「本屋」とひと口にいっても、ただ本を売るだけでなく、コーヒーを片手にゆっくり読書がたのしめる「ブックカフェ」を営む人もいれば、日が昇るまで読書にふけれるブックラウンジ併設の宿泊施設をはじめる人もいます。

本屋という大きなくくりはありつつも、業態はさまざまです。

  • 泊まれる本屋
  • ブックカフェ
  • シェア型書店
  • 無人書店
  • オンライン書店
    など

場所をかまえることなくはじめられる「オンライン書店」は、ネットショッピングの需要が高まる昨今では増えつつあるかもしれません。上記のように本屋の営みかたはどんどんと自由に、柔軟になってきており、ひとひねり、ふたひねり加えることが注目を集めるコツでもあります。

国内における本屋の状況

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おもしろい発想を持った本屋が次々と登場する背景には、出版業が斜陽産業となりつつあることが挙げられます。ネット通販や電子書籍の普及により書店の数は減少しており、「出版文化産業振興財団」によると、書店が1軒もない自治体はいまや4分の1にものぼるそうです。つまり、456の市町村に本屋がないことになります。くわえて、「日本出版インフラセンター」の調べによると、2022年には2012年と比べて新刊を扱う本屋が3割も減っていました。

参考:
経産省 地域の書店振興にプロジェクトチーム立ち上げへ(2024年3月5日、NHK NEWS WEB)
本や雑誌の出版情報 独立系書店にも配信開始 出版社などの団体(2024年1月30日、NHK NEWS WEB)

衰退しているようにも思える一方で、「独立系書店」に絞ってみると出店数は増えているという前向きなニュースもあります。独立系書店とは店主がこだわりを持って選んだ本が並ぶ、中小規模の本屋を指します。例としては東京・神楽坂にある「かもめブックス」や京都・一乗寺の「恵文社」などが挙げられます。全国津々浦々で個性的な本屋がぽつぽつと開業しており、2023年には105店舗もの独立系書店がオープンしたそうです。このように見方や営みかたによっては盛り上がりを見せており、まだまだ希望のある業態だといえるでしょう。

本屋の開業に必要な手続き

本屋は業態によっては許可申請が必要です。

古物商許可を取得する

古書を取り扱う予定であれば、古物商許可を取得しましょう。まず警察署に事前相談し、その後、必要な書類をまとめて申請します。申請には19,000円の手数料がかかります。無許可で販売をはじめると3年以下の懲役、または100万円以下の罰金が課せられる可能性があるため、開業前に必ず取得しておくようにしましょう。

参考:古物商許可申請(警察署)

業種ごとに必要な手続きを行う

「ブックホテル」や「ブックカフェ」などを営む場合は、業態にあった許可を取得したり届出を提出したりしなければいけません。詳しくは、以下の表を参考にしてください。

  対象 必要な手続き 費用
飲食店営業許可 飲食店を営業する場合 保健所に相談し、申請をする 20,000円程度(自治体によって異なる)
食品衛生責任者の資格 飲食店を営業する場合 都道府県が実施する講習会を受講する 12,000円
防火管理者の資格 収容人数が店舗スタッフを含め30人以上の店舗の場合 日本防火・防災協会が実施する講習を受ける 10,000円程度
深夜酒類提供飲食店営業の届出 深夜0時以降にお酒を提供する場合 警察署に提出する 0円

開業届の提出

開業をしたら開業日から1カ月以内に開業届を提出します。近年では、開業届をオンライン上で提出できるようになりました。詳しくは国税庁の「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」のページをご確認ください。

本屋の開業に必要な資金

これから開業に向けてコツコツと貯金をする予定の人もいるかもしれません。ここでは開業資金などの目安を見ていきましょう。

開業資金

開業資金は店主がどんな店をつくりたいかによって、大きく異なる部分です。物件の家賃によっても差が出てくるでしょう。自宅を店舗にするなど、工夫次第ではお金を極力使わない形での開業も可能です。以下の表で開業資金の内訳を見ていきましょう。

  費用
店舗取得 0円〜1,000万円(家賃の半年分から10カ月分が一般的)
内装・外装工事 0円〜1,000万円(坪単価10万円が一般的)
設備・備品(書棚など) 10万円〜300万円
仕入れ 50万円から300万円
レジまわり 2万円
広告・宣伝 10万円から50万円
合計 72万円から2,652万円

運転資金

運転資金とは、支払わないと事業が立ち行かなくなる性質の資金を指します。たとえば仕入れ費や家賃、光熱費、人件費などです。運転資金は、最低でも3カ月分用意しておくことが一般的です。どれくらいの資金があれば1カ月乗り切れるかを算出したうえで用意しておくといいでしょう。

ネットショップの開業・運転資金

ネットショップでの開業を検討している場合には、以下の表を参考にしてください。物件に関する費用がない分、コストを大幅に削減しながら開業にチャレンジできます。必要な資金のうち、一番大きな比重を占めるのは仕入れ費でしょう。

  費用
仕入れ 50万円から300万円
広告・宣伝 10万円から50万円
ネットショップ作成サービスの初期費用 0円から6万円
ネットショップ作成サービスの月額利用料 0円から10万円
合計 60万円から366万円

本屋の開業資金の調達方法

開業資金の主な調達方法を見ていきましょう。

日本政策金融公庫

はじめて開業する人に向けた資金調達方法としてよく挙げられるのが、「日本政策金融公庫」です。政府が100%出資している金融機関で、開業実績のない人でも融資が受けやすいことが大きな特徴です。担保や保証人がなくても、低利子で受けられる制度を提供しているところも、小さな規模ではじめようと思っている人にはうれしいところでしょう。

参考:融資制度を探す(日本政策金融公庫)

融資を受けるのにどれくらいの自己資金が必要かは、気になるところかもしれません。日本政策金融公庫が融資先を対象に実施した調査によると、自己資金の平均額は融資額の2割程度でした。

参考:2023年度新規開業実態調査(2023年11月30日、日本政策金融公庫)

また、日本政策金融公庫に限らず、自治体や信用金庫も小規模の事業を対象とした融資制度を用意しているのでほかの候補もあわせて検討するといいでしょう。

クラウドファンディング

融資を受けるにはある程度の自己資金があるほうが好ましく、貯蓄が潤沢でない人にとっては少しハードルが高く感じられるかもしれません。最近では不特定多数の人から資金を募る「クラウドファンディング」にチャレンジする人も増えています。基本的にはプロジェクトを掲載したいクラウドファンディングサービスサイトを選び、プロジェクトページを作成します。プロジェクトページでは、なぜ本屋をはじめるのか、どんな本屋にしたいのか、どうやってはじめるのか……などのストーリーを文章と写真で細かく伝えていきます。その内容をもとにユーザーは応援するか否かを選ぶので、いかにプロジェクトに対する熱意をうまく伝えられるかが重要です。また、資金の使い道も細かく記載しておくのが一般的です。支援者にはお礼の返礼品(リターン)を用意しておく場合が多いですが、用意するかしないかは自由に選べます。

補助金・助成金

「業務効率アップのツールの導入」など、特定の費用に補助金や助成金を活用すると、全体の開業資金をおさえることができます。補助金や助成金は制度ごとに要件や対象が異なり、全額を負担するものは少ないため、開業資金をすべてカバーできる選択肢ではないと覚えておきましょう。とはいえ、負担額が少し減るだけでも十分メリットはあるため、情報を探っておく分には損はないでしょう。

開業時に役立つ補助金・助成金には、以下が挙げられます。

  • 地域雇用開発助成金
  • 創業促進補助金
  • IT導入補助金
  • 起業支援金
    など

J-Net 21のウェブサイトでは、自治体ごとに補助金や助成金などが確認できるので、あわせてご確認ください。

本屋を開業するまでの流れ

無事、開業に漕ぎ着くまでには大きく11のステップを踏んでいく必要があります。することがたくさんあり尻込んでしまうかもしれませんが、一歩ずつ進めていけば、怖いものはありません。

(1) 魅力的なコンセプトを考える

コンセプトづくりは軽視してはいけない大事なステップです。コンセプトが固まるとターゲットや内装の雰囲気、並べる本など、本屋をつくるうえで必ず決めていかないといけないことが判断しやすくなります。しっかりと時間をかけて組み立てていくことこそが、お店の詳細を決めていくうえでの近道ともいえます。コンセプトを考える際には、以下を意識するといいでしょう。

  • 差別化のポイント
  • 届けたいターゲット
  • 提供したい体験
    など

(2) 取り扱う商品を決める

コンセプトとあわせて考えたいのが、取り扱う書籍の種類や系統です。本とひと口にいっても、扱える書籍は星の数ほどあります。新刊書と古書の両方を扱うのか、それとも一つの分野に特化するのか、あるいは独立系書店のように個性的なラインアップで戦っていくのか……市場の傾向や競合などもリサーチしていきながら、ラインアップを少しずつ明確にしていきましょう。

(3) 事業計画を作成する

事業計画書とは、その名のとおり、事業の開業と継続に関する計画書です。決まったフォーマットは特にありませんが、日本政策金融公庫が公開している「創業計画書」のテンプレートの内容が参考になります。以下の内容が含まれています。

  • 創業の動機
  • 経営者の略歴
  • 取扱商品・サービス
  • 従業員
  • 取引先・取引先関係等
  • 関連企業
  • お借入の状況
  • 必要な資金と調達方法
  • 事業の見通し

事業計画書は融資を受ける際には必ず提出しなければいけない書類の一つです。作成方法や記入内容については日本政策金融公庫をはじめ、中小企業基盤整備機構や商工会議所などにアドバイスを求めることもできるので、不安がある場合は、こういった窓口を活用することがおすすめです。

(4) 資金調達をする

資金の調達先は、事業計画書を作成する際に決めていきます。最もよくあるのは、融資と自己資金を組み合わせて資金を確保するパターンでしょう。日本政策金融公庫の「2023年度新規開業実態調査」からそれぞれの平均額を見てみましょう。

  調達額の平均(調査年度:2023年)
金融機関などの借入 768万円
自己資金 280万円

参考:2023年度新規開業実態調査(2023年11月30日、日本政策金融公庫)

(5) 出店場所を探す

出店場所は売り上げを大きく左右する点です。ターゲット層が集まる立地かどうかは、あらかじめ調査しておきましょう。たとえばファミリー層が多く暮らす住宅地に本屋をかまえる場合は子ども向けの本を揃えておくと、子育て真っ盛りの世帯に重宝されるかもしれません。雑貨店などが充実しているエリアだとしたら、生活にまつわる書籍に興味を持つ人もある程度いると考えられます。このようにどんな需要があるかをもとにエリアを絞っていくのも大切でしょう。

(6) 店舗の工事・什器を導入する

本屋の店舗設計はシンプルのようにも見えますが、回遊性がいいか、試し読みできるスペースが十分あるかなど、細かく詰めるところはたくさんあります。什器に関しても棚に限らず、照明、読書スペースをもうける場合は椅子なども選んでいく必要があります。また、店舗が今後の仕事場になることを考えると、バックヤードも使い勝手のいいようにレイアウトしておきたいところです。予算内におさめられるよう、優先順位を明確にしておくのが賢明でしょう。

参考までに、本屋の内装工事費用の坪単価は、10万円から30万円ほどといわれています。

(7) 必要な許可を取得する

本屋の開業に必要な手続き」でも紹介した許可などを取得しましょう。カフェを併設する場合には手続きも増えてくるため、早めに書類の準備などを進めておくと安心です。

(8) 仕入先を見つける

ここまでの準備が整ったら、いよいよ初期在庫の確保にも着手します。新刊書や古書など、取り扱う書籍によって仕入れ方法は異なるため、詳しくは「本屋の仕入れ方法」の章で解説します。空っぽの棚や平台をすべて埋めるところからはじまるため、発注リストを作るのにもそれなりの時間がかかることが予想されます。発注リストの作成から発注、納品までは、1カ月半から2カ月ほどを見ておくといいでしょう。

(9) 宣伝をする

店舗や商品の準備が整ってきたら、宣伝をはじめましょう。お店の存在を知る方法がなければ、本来興味を持つであろう潜在客も訪れずじまいになってしまいます。そのためにも近隣に向けての宣伝方法、数駅離れたところに住む人への宣伝方法と、さまざまな場所から訪れるお客さまを想定しながら情報を広く届けていくことが大切です。

(10) レジを準備する

店舗をはじめるにはコンセプトづくりから内装工事、本の仕入れ……と重要度が高く作業量も多いタスクを次々とこなしていかなければいけません。そこで抜け落ちてしまいがちなのが、レジの準備です。現金の扱いだけであれば、最悪、金庫と釣り銭を用意すればはじめることもできるでしょう。ただ、近年ではキャッシュレス決済の需要も増えているため、決済端末の導入もできることなら検討しておきたいところです。最近だと手頃な費用で導入できるサービスもあるため、小規模の店舗でもずいぶんとキャッシュレス決済をはじめやすくなりました。たとえばSquareなら、端末の代金のみで導入できます。一番安価な端末は5,000円以下で手に入るうえ、クレジットカードも電子マネーもたったの1台で受け付けられるので、省スペースを叶えたい店主にもおすすめです。

Square リーダーを導入している東京・墨田区の書店「書肆スーベニア 」の店主、酒井隆さんは、本屋でキャッシュレス決済に対応するメリットについて以下のように話しています。

「本屋さんってやっぱり偶然の出会いで買うものが結構多かったりするので。お財布に今現金足りない!みたいなときにも、やっぱりクレジットカードがとりあえず使えるってなっていると(笑)。特に古本は一点ものがほとんどなので、クレジットカードが使えるんだってなると、買っていただけることが多いですね」ー書肆スーベニア 店主 酒井隆さま

▶︎書肆スーベニアの導入事例を読む

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(11) 開業届を提出する

上記がすべて終わったら、待ちに待った開業です。開業日から1カ月以内に、開業届を管轄の税務署に提出しましょう。以前までの提出方法は税務署まで足を運ぶか郵送するかの二択でしたが、近年ではオンラインからでも提出ができるようになりました。詳しくは、国税庁のページをご確認ください。

参考:A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続(国税庁)

本の仕入れ方法

扱う本によっては、さまざまな仕入れルートを確保する必要があります。ここでは新刊と古書で分けて見ていきましょう。

新刊を仕入れるには

新刊は出版社、または取次店から仕入れることができます。基本的な流れとして、取次店を経由して出版社の著書が全国に送られるため、取次店とやりとりをするケースが多いようです。

取次店には大きく「大取次」と「中小取次」とあります。大取次と契約を結ぶことで、出版流通に乗っている本のほとんどを仕入れることができます。ただし、大取次店から仕入れるには、口座の開設が必要で、そのためには保証金を用意しなければいけません。保証金の目安は、売り上げの1〜2カ月分です。

こういったハードルもあり、開業実績などがない本屋がいきなり大取次店と契約を結ぶのは難しく、売り上げが安定してくるまでは複数の中小取次店と契約を結ぶのが一般的のようです。中小取次店であれば、口座の開設に保証金が不要なことがほとんどのため、複雑な段取りなしに仕入れをはじめることができます。

取次店で扱いのない書籍を仕入れる場合には、出版社から直接仕入れるという方法もあります。

参考:
大取次の口座を開く――新品の本を仕入れる5つの方法(1)(2018年11月9日、内沼晋太郎)
小さな取次の口座を持つ――新品の本を仕入れる5つの方法(2)(2018年11月12日、内沼晋太郎)

古書を仕入れるには

古書を仕入れるには、古書組合に加入するのが一般的です。古書組合は、都道府県ごとに存在するため、店舗をかまえる都道府県の古書組合を探しましょう。加入には入会金がかかり、都道府県ごとに異なります。たとえば東京古書組合では以下の費用がかかるとあります。

出資金 100,000円
加入金 500,000円
※加入金の額は総会において定める
期末決算の組合純資産額を出資口数で除して得た額
共済会基金 30,000円

参考:T組合に加入するには(東京古書組合)

組合に加入することでほかの組合員との「交換会」に参加し、本の仕入れができるようになります。交換会は入札制で、古書店同士が古書の売買をする場です。

参考:古書組合に入る——古本を仕入れる4つの方法(1)(2018年11月16日、内沼晋太郎

入会金は決して安くはないため、まずは以下の方法から仕入れをはじめるお店もあるようです。

  • 個人や法人から本を買い取る
  • 個人の蔵書を引き取る
  • ほかの古書店から転売目的で購入をする(セドリ)
  • 古本の卸しを利用する

本屋の開業を成功させるコツ

ここまでは本屋の開業をするために必要なことを説明してきましたが、はじめることはビジネスの第一歩にしかすぎません。開業してからはいかに継続していくかが勝負どころになります。そのためには以下も検討しておくといいでしょう。

シェア型書店に出店してみる

最近では本屋の棚を複数人に貸すことで運営する「シェア型書店」の数も増えています。棚ごと、または区画ごとに店主が異なるイメージです。1店舗に同居する書店の数は、100以上にのぼることもあります。シェア型書店は、入会金や月額費用を支払うと店舗の一区画で自身がセレクトした本を販売できるしくみです。売り上げの数パーセントをシェア型書店におさめます。場所をかまえることで発生する負担を省略しつつ、本の販売にチャレンジできるので、腕試しには最適かもしれません。

以下はシェア型書店の例です。

  • PASSAGE by ALL REVIEWS(東京・神保町)
  • 糸島の顔がみえる本屋さん(福岡・糸島)
  • 本と酒 鍛冶六(兵庫・姫路)
    など

全国津々浦々にシェア型書店が登場しているので、近隣にもあるかどうかを探してみるといいでしょう。

SNSなどで積極的に発信する

SNSでの発信はいまや本屋に欠かせないマーケティング方法です。基本的には新しく入荷した本を紹介する本屋が多いようです。そのほかには店内で開催するイベント、雑貨なども扱う場合はその紹介など、いろんな角度から情報を届けていくとさまざまな層に興味を持ってもらえる可能性が高まります。

営業活動で固定客を獲得する

本屋にも営業活動は必要です。たとえば同じ地域にある美容室や診療所などが営業先として考えられます。こういった場所では待ち時間用に本や雑誌を用意しているので、「毎月美容室や診療所を訪れる層に合わせた雑誌と本をセレクトする」などの契約を結べれば、定期的な収入になります。

異業種とのコラボレーションを実施する

より多くの人の注目を集めて、集客に結びつけたいなら、異業種コラボレーションも方法の一つです。前例としては、本屋の一区画を使って展示企画を行う、アパレルショップのアイテムを取り扱うなどでしょう。イベントを定期的に開催するのも人気のある取り組みです。

たとえば「奥渋」という呼び名で親しまれる渋谷・神山町にある「SPBS(Shibuya Publishing Book Sellers)」では、雑誌づくりや街づくりなどをテーマにしたワークショップが定期的に開催されています。下北沢にある「本屋B&B」では、特定の書籍についてゲストがトークを繰り広げるイベントが毎日のように開かれています。最初からいきなりイベントを実施するのは難しいかもしれませんが、認知拡大の案として、引き出しに持っておくといいでしょう。

オンラインでも販売する

最初のうちは実店舗の在庫を揃えるだけでひと苦労かもしれませんが、少し作業に慣れてきたら、売上拡大の策としてオンライン販売も検討してみるといいでしょう。店舗に足を運びたくても、離れた場所に住んでいれば頻繁に訪れることもできないでしょう。こういった潜在客に向けた購入方法として用意したいのがネットショップです。

最近では高額な費用をかけず、専門知識がなくても、簡単にネットショップを作れるサービスがあります。たとえばSquareもその一つです。初期費用も月額利用料もなしの無料プランからはじめれば、かかるのは決済ごとの手数料のみです。

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▲Squareで作成したネットショップのイメージ

ネットショップを作る時間はなかなか見つけられないけれど、せめてInstagramなどから問い合わせをもらった本だけは販売できるようにしたい……と思うこともあるかもしれません。こういった場合には、リンク決済の活用がおすすめです。リンク決済では、1商品ごとに販売ページを作成します。具体的には、「購入できますか」と問い合わせを受けたら、該当する書籍の購入ページを作り、お客さまにリンクを共有し、支払いを受け付けます。この機能を使うと、以下の画像にあるようなページが数秒で作れます。

作成に必要なのは、商品名と価格の登録だけ。任意で画像を登録することもできます。登録が終わると自動でリンクが発行されるので、購入を希望するお客さまにそのリンクを送りましょう。お客さまはリンクにアクセスすると、画面からクレジットカード決済で本を購入することができます。「Square リンク決済」なら、無料アカウントを作成するだけで使い心地を試してみることができます。作業負担をおさえてオンライン販売をはじめられるので、おすすめです。

Squareなら今すぐキャッシュレス決済導入できる

カード決済、タッチ決済、電子マネー決済、PayPayのQRコード決済が簡単に始められます

この記事では本屋の開業のしかたについて説明してきました。書籍の電子化が進む一方で、独立系書店を筆頭に紙での書籍を扱う本屋も盛り上がりを見せています。本を読むだけでなく、読書文化を盛り上げる側にまわりたいという熱意があるのなら、ネット販売をはじめ、時代に合った販売方法を模索しつつ、本屋開業に向けた一歩を踏み出してみてはいかがでしょう。


Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。

執筆は2018年5月23日時点の情報を参照しています。2024年5月13日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash