スモールビジネスも個人事業主も活用できる!経費削減10の方法

ビジネスをしていれば規模の大きさに関わらず誰もが、利益を上げて事業を広げたいと思うでしょう。売り上げを増やすための営業活動も大切ですが、もう一つ重要なのが経費です。どんなに売り上げが伸びても経費がかさんでしまったら、利益には結びつきません。

ここでは、小規模な企業の経営者や個人事業主が気をつけておきたい経費について、経費の範囲と見直し・削減のポイントを解説していきます。

経費削減の上で知っておきたい必要経費のポイント

経費削減でいちばん重要なのは、目的・目標の設定です。気をつけたいのが、経費削減そのものが目的にならないようにすることです。事業を拡大するため、あるいは事業を安定させるためなどの目的があり、そのためのムダなもの・不要なものを減らしていく手段となるのが経費削減です。

目的・目標が定まったら削減の対象となる経費の項目を検討していきます。個人事業やフリーランスなどスモールビジネスの場合で経費とみなせる費用項目を整理してみましょう。

必要経費として認められるもの

経費と認められるかどうかは、国に税を支払う確定申告時に経費申請する項目を軸に考えるとよいでしょう。青色申告用の損益計算書で必要経費として認められているのは次の項目です。

  • 租税公課
  • 荷造運賃
  • 水道光熱費
  • 旅費交通費
  • 通信費
  • 広告宣伝費
  • 接待交際費
  • 損害保険料
  • 修繕費
  • 消耗品費
  • 減価償却費
  • 福利厚生費
  • 給料賃金
  • 外注工賃
  • 利子割引料
  • 地代家賃
  • 貸倒金

必要経費として認められないもの

一方で、事業と直接関係しないものについては必要経費として認められません。特に次のような費用は勘違いしやすいため、注意が必要です。

  • 事業主の給料
  • 事業主自身の健康診断費用
  • オフィスを借りるときの敷金
  • 交通違反などの罰金
  • 事業主の出張手当(交通・宿泊の実費以外の手当)
  • 業務に関係のない年賀状、衣類、理美容代、飲食費
  • スポーツクラブの利用料金
  • 生命保険料(生命保険料控除の対象となります)
  • 医療費(医療費控除の対象となります)

状況によって必要経費として認められたり認められなかったりするもの

費用項目によっては、業務に関係のあるものと明示できれば必要経費と認められるものがあります。実際に業務に必要なものだけを抽出したり、業務に使った割合を按分したりして経費に計上します。

  • 業務で着用するスーツなどの衣類
  • 理美容代
  • 取引先への年賀状
  • 飲食費
  • 観葉植物
  • ウォーターサーバー
  • タブレット
  • 自動車の維持費
  • 家事関連費(家賃や光熱関係など)

参考:
No.1350 事業所得の課税の仕組み(事業所得)(国税庁)
No.2210 やさしい必要経費の知識(国税庁)

経費の範囲がわかったところで、以下のようなポイントを見直し、ムダな出費を抑えていきましょう。

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経費削減のポイント1:固定費用を見直す

削減効果が大きいのは、売り上げに関係なく毎月確実に出ていく固定費用です。

電気代、ガス代、通信代の見直し

光熱費、通信関係やリース関係の費用など、毎月料金を払っているものは、プランが事業形態にふさわしいものかを見直してみましょう。

  • プラン内容と費用の比較
  • 不要なオプションの削除
  • 契約会社のとりまとめ(電気とガスなど、まとめると安くなるプランもあり)
  • 無料のサービスの活用(連絡手段をLINEやSlackなどのツールにするなど)
  • クラウドサービスの活用(データを管理するサーバやソフト、保守人員をなくす)

保険契約の見直し
事業の状況が変わって契約内容が合わなくなっているのになんとなく掛け続けているものがないか、定期的に保険契約を見直していきましょう。ただし、保険については専門知識が必要となるものも多いため、専門家から意見を聞きながら必要のない部分のみを削除していくことをおすすめします。

定期利用サービスの見直し
新聞・雑誌の定期購読、有料会員登録、定額利用し放題サービスなど、無料期間中に試した後ずるずると続けているものがないかチェックしてみましょう。

経費削減のポイント2:運用方法を効率化する

流動的な経費の場合、事業が拡大して売り上げが増えればその分多くなっていきます。できるだけシステム化するなど効率的に運用することでムダを省いていきましょう。

伝票・書類を電子化する
ITの活用によるペーパーレス化は、紙代、印刷代、手間代、郵送代、印紙代などが節約できるため効果が大きな手段といえます。領収書や見積書、請求書もPDFなどのデータでメール送信したり、ウェブサービスを利用して発行したりできます。

オンライン会議を導入する
ITを会議にも活用し、オンラインで行うことも検討してみましょう。資料の紙代、印刷代、廃棄代が削減できるだけでなく、会議室の確保もいらず、日程調整もしやすくなります。また、その場でデータの共有も可能なため、業務の効率化も進みます。

キャッシュレス支払いにする
法人化している事業主の場合は法人カードを、個人事業主やフリーランスの場合はビジネスカードを作るのもおすすめです。銀行の振込手数料と比較した場合、年会費を払ってもカード払いの方が費用を抑えられる可能性があります。カード会社によってはポイント還元もあります。

そのほか、インターネットバンキングを活用する方法もあります。振込手数料が安かったり、24時間いつでも手続きができたりと、時間とコストを節約する効果があります。

まとめて決済する
まとめることで割引があるものは活用しましょう。

  • 定期券は6カ月分を購入する
  • 出張は交通機関と宿泊施設がセットになった出張パックを活用(変更・キャンセル不可の場合があるので注意)
  • コピー用紙などの消耗品はオンラインショップで購入し、ポイントなども活用する

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経費削減の方法3:費用対効果のバランスを整える

売り上げや利益の上がらないときほど、余計にがんばろうとして経費がかさむこともあります。思い切った判断で見直していく姿勢も重要です。

広告費・販売促進費を見直す
スモールビジネスや個人事業の場合、広告宣伝や販売促進への支出する際には目的を明確にし、戦略をたてることが重要です。大手企業と異なり、費用をかけすぎてしまうと体力がもちません。どのターゲットに届くようにするべきか、導線をしっかりと定め、費用対効果が出ているか検証しましょう。

  • 売り上げの効果が高い顧客に販促を集中させる
  • 商品特性別にきめ細かく広告戦略をたてる
  • 閲覧数に応じ広告費が発生するインターネット広告を活用し、固定費用を減らす

アウトソーシングを活用する
経費の中で大きなウエイトを占めるのが人件費です。一時的にふくらむ作業や経理などの業務を外部調達するアウトソーシングを上手に活用しましょう。クラウドソーシングなどもあり、インターネットを介して単純作業から専門的なクリエイト業務まで必要な時に必要な業務を調達できるサービスが増えています。

税理士などの専門家に相談する
一定以上の利益が確保できている場合は、税理士や公認会計士、中小企業診断士などの専門職の助言を受けるのも効果的です。専門的なことは専門家にまかせ、その時間を業務に集中させる方が費用対効果は高くなります。

  • 財務や経営に関するコンサルティングを受ける
  • 効果的な税務処理(節税)のコンサルティングを受ける
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こんな経費削減はやってはいけない

経費削減は効果が目に見えやすいため、つい熱心に追求してしまいがちです。経費削減の実施には手間もリスクも伴います。急な思いつきであれこれ試して従業員を振り回すことのないよう、目的や優先度をしっかりつけて実現可能な計画を着実に進めましょう。特に、次のような経費削減は、本末転倒になってしまいかねず、注意が必要です。

  • 自社サービスや商品の品質・評価の低下をまねく経費削減(素材の質を下げる、ベテランの従業員を解雇するなど)
  • 従業員の意欲低下や労働効率低下につながる経費削減(従業員を解雇して1人あたりの仕事量や労働時間を増やす体制変更、体調不良を起こしかねないエアコンの温度設定など)
  • 自社の信用低下をまねく経費節減(ホームページの質を下げ更新を止めるなど)

経費削減が業務を効果的に進めていく一つのツールとなるよう、事業主と従業員が足並みを揃えて取り組む工夫が必要です。また、目の前の短絡的な効果に惑わされず、中長期の視点で検討し、利益向上や業務の維持拡大に貢献できる経費削減をめざしましょう。

執筆は2019年12月3日時点の情報を参照しています。
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