在庫が増えると利益が減るのは本当?在庫管理の重要性も解説

商品を扱う事業者にとって、在庫は常に気になる存在です。「売り上げは伸びているのになぜか利益が伸びない」と悩んでいるとしたら、在庫管理の方法を見直した方が良いかもしれません。過剰な在庫は、保管コストや廃棄ロスの増加を招き、事業の資金繰りを圧迫する原因になります。

さらに長期的に見れば、利益を減らす可能性があり、経営にマイナスの影響を及ぼすケースも少なくありません。

本記事では、在庫と利益の関係性について、基礎から詳しく解説します。適正在庫の考え方を取り入れて利益を最大化し、健全な経営を実現する方法を学びましょう。

目次


在庫とは

在庫は利益に直結する重要な資産です。まずは、在庫の基本的な意味や会計上の扱いについて理解を深めましょう。

在庫の意味と定義

在庫とは、事業者が販売や生産のために保有している商品や原材料を指します。

流通・小売業では、販売のために保管される商品や製品が在庫に該当します。一方、製造業では、生産のために仕入れた原材料や、製造途中の仕掛品(未完成品)も在庫に含まれます。

会計上の在庫

在庫は会計用語で「棚卸資産」と呼ばれ、財務諸表において重要な役割を果たします。

貸借対照表(B/S)では「棚卸資産」として計上され、事業者が保有する資産の一部とみなされます。また、損益計算書(P/L)では「期首商品棚卸高」「期末商品棚卸高」として記載されます。

キャッシュフロー計算書(C/F)では「棚卸資産の増減額」に計上されます。在庫が増加すると資金が固定化されるため、キャッシュフロー上はマイナス要因となります。

在庫と利益の関係とは

在庫は「売上原価」や「売上総利益」と密接に関係しており、管理方法次第で事業の収益性が大きく変わります。売上原価の計算方法や在庫が売上総利益に与える影響を見ていきましょう。

売上原価と期末在庫

売上原価とは、販売した商品やサービスの仕入れにかかったコストです。売れ残っている在庫は売上原価に含まず、資産として計上されます。

たとえば、1個1万円の商品を10個仕入れ、3個販売した場合、実際に仕入れにかかったコストは10万円(=1万円×10個)です。しかし、会計上は販売した分のみを売上原価の計算に含めるため、3万円(=1万円×3個)を売上原価とします。

売上原価は以下の計算式で求めることも可能です。

売上原価=期首在庫+当期仕入高-期末在庫

期首在庫は前期末の在庫の金額、当期仕入高は当期に仕入れた商品や原材料の金額、期末在庫は今期末の在庫の金額です。期末在庫が多くなると売上原価が減少し、逆に在庫が減ると売上原価は増加します。

売上総利益の計算の仕方

売上総利益(粗利益)は、売上高から売上原価を差し引き、算出します。

たとえば、売上高が100万円、売上原価が30万円の場合、売上総利益は70万円(=100万円ー30万円)です。

在庫が増えると利益が減るの?

在庫が増えると、会計上は利益が増えているように見えます。しかし、実際の資金繰りや長期的な収益性を考えると、在庫の増加が必ずしも良い結果をもたらすとは限りません。

まず考えられるのが、資金繰りの悪化です。仕入れを増やせばその分、手元の現金は少なくなります。利益が増えると納税額も増え、手元資金がさらに圧迫されるため「黒字なのにお金がない」という状況に陥るケースも少なくありません。資金が不足すると、事業運営や成長のための投資も難しくなってしまうでしょう。

また、在庫の評価額と実際の価値のズレが利益を圧迫する可能性もあります。売れ残った在庫は帳簿上、資産として計上されますが、評価額が市場で実際に回収できる金額と一致するとは限りません。翌期以降に販売しようとしても、商品の陳腐化によって売れ残る可能性や、現金化するために値下げして売らざるを得ない場合もあります。さらに、長期間保管すると倉庫代などの管理コストもかかるため、想定していた利益を確保できない場合もあるでしょう。

このように、在庫の増加は短期的には帳簿上の利益を押し上げる要因になりますが、長期的に見ると資金繰りの悪化やコスト増加を招き、最終的に事業の利益を圧迫する可能性があります。

会計上では売上総利益が増える

在庫が増えると、会計上は売上総利益が増加する仕組みになっています。これは売上原価を「期首在庫+当期仕入高-期末在庫」で計算するためです。つまり、期末在庫が増えるほど売上原価は小さくなり、その結果売上総利益は大きくなります。

しかし、帳簿上の利益が増えても、実際の資金繰りが良くなるわけではありません。

たとえば、1個1万円の商品を10個仕入れ、2万円で3個販売したケースを考えてみましょう(期首在庫は0とする)。この場合、売上総利益は、売上高6万円(=2万円×3個)-売上原価3万円(=1万円×10個ー1万円×7個)=3万円です。

しかし、実際の現金の出入りを見ると4万円の赤字(=2万円×3個ー1万円×10個)であるとわかります。

期末には在庫が減っている方がよい

財務健全性を保つためには、期末に在庫が減っている状態が望ましいでしょう。

主な理由は以下の通りです。

  • 税金の負担が減る:売上総利益が大きいほど、課税対象となる利益も増え、税金の負担が重くなります。期末在庫が多いと売上原価が小さくなり、結果として売上総利益が大きくなってしまいます。在庫を適切に減らせば、売上原価を増やせるため、税負担の軽減が可能です。

  • 資金繰りが安定する:在庫が減るということは、商品が売れて現金が手に入るということです。逆に、在庫が多く残ると資金が固定化され、手元のキャッシュフローが悪化します。

  • 赤字になるリスクを減らせる:在庫が多いと、売れ残りを処分する際に値下げや廃棄が必要になり、赤字につながる可能性があります。特に、流行商品や賞味期限のある商品は、価値が下がるスピードが速く、長期間保有するほど損失につながる可能性があるでしょう。

  • 粉飾決算のリスクを防げる:在庫の水増しは、粉飾決算でよくみられる手口の一つです。在庫が多い場合、監査や税務調査の際に問題となり、粉飾決算を疑われるリスクがあります。

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在庫管理の必要性と対策

在庫が多すぎると、保管コストの増加や商品価値の低下により、長期的に利益を圧迫する可能性があります。しかし、在庫が少なすぎると欠品が発生し、販売機会を逃すことで利益を得にくくなる場合もあります。そのため、計画的な在庫の管理が必要です。

適正な数量を保持できるようになる

在庫を適切に管理することで、過不足なく必要な数量を確保できます。

在庫が少なすぎる場合は、欠品が発生しやすく、販売機会を逃しやすくなります。ひんぱんに品切れを起こすと信用を失い、顧客が競合他社に流れてしまうリスクもあるでしょう。

反対に過剰在庫を抱えると、保管コストや管理コストが増加し、資金が固定化されるため、利益を圧迫する要因になります。

適正在庫を維持していれば、販売機会を最大限に生かしながら、コストを抑えられます。

利益を最大化できる

在庫管理の適切化によって資金の流れがスムーズになり、さらなる仕入れや投資が可能になります。

コストが低いうちに仕入れて利益率を向上させる、需要が高まる時期に備えて適正な在庫を確保し、販売機会を最大化するといった戦略も可能です。

また、新規事業への投資や設備投資によって、さらなる利益拡大につなげられるでしょう。

在庫管理ツールを使う

在庫を適正化するためには、ツールを活用して在庫を可視化することが有効です。

在庫管理システムとは、在庫の量や内訳を追跡・管理するシステムです。導入すると、リアルタイムで在庫状況を把握できるほか、手作業での在庫管理にはつきもののヒューマンエラーを防ぎやすくなります。

在庫管理ソフトやアプリ、POSレジシステムなどの導入は、在庫管理の負担軽減や効率化につながるでしょう。

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Squareでは、大量の商品情報を一括で登録・管理できるため、在庫管理の効率が大幅に向上します。

以下の方法で商品情報を登録できます。

手作業での登録が難しい大量の商品データも、CSVファイルを使って一括インポート可能です。また、現時点の在庫や更新後の在庫レポートをまとめてダウンロードできるため、計画的に仕入れができます。

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在庫アラートがメールで届く

在庫アラート機能を活用すれば、在庫状況が一定の水準を下回った際にアラートが発信されます。人気商品や定番商品の欠品を未然に防ぎ、品切れによる機会損失を減らしやすくなるでしょう。

小売店の在庫管理にはSquare リテールPOSレジが便利

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  • モバイル端末内蔵の​カメラで​バーコードが​読み取れる
  • バーコードの​読み取りで​棚卸しが​できる
  • 商品ごとの​売上原価や、​利益率・在庫消化率などが​確認できる
  • 商品の​返品・交換時に​在庫を​自動調整できる
  • 店舗間で​在庫を​移動できる
  • 在庫履歴が​確認できる

Square リテールPOSレジには、フリー・プラス・プレミアムの3種類の料金プランがあります。

  初期費用 月額費用
フリー 0円 0円
プラス 0円 6,000円(税込)/店舗ごと
プレミアム 0円 カスタム対応

Square リテールPOSレジプラスには30日間​の無料トライアルも用意されているので、導入を迷っている場合は、まず使用感を試してみましょう。

まとめ

在庫が増えると帳簿上の売上総利益は増加しますが、一方で資金繰りの悪化を招く可能性があります。長期的に見ると、過剰在庫は利益を圧迫する要因となるため、適正に在庫を管理し、過不足のない状態を維持することが重要です。

Squareなら、大量の商品情報の一括登録や在庫アラート機能など、在庫管理をスムーズにする機能が充実しています。さらに、小売店向けに特化したSquare リテールPOSレジもあり、バーコードスキャンや自動在庫調整など便利な機能が利用可能です。在庫管理を見直したい事業者様は、この機会にSquareの導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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執筆は2025年3月6日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash