※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
企業が資金繰りの安定化を図る方法の一つに「短期継続融資」があります。短期借入を継続して利用できるこの融資制度は、季節による売上変動が大きい業種や、運転資金を一時的に確保したいときなどに効果的です。
本記事では、短期継続融資の仕組みをはじめ、メリット・デメリット、さらに他の資金調達手段や利用時のポイントについて解説します。
目次
- 短期継続融資とは
・短期借入と長期借入の違い
・短期借入の種類
・短期借入を継続できるのが短期継続融資 - 短期継続融資のメリット
・運転資金が安定する
・定期的な返済が不要 - 短期継続融資のデメリット
・期日が延長されないこともある
・利息負担が大きい - 短期継続融資の注意点
・短期継続保証の制度を確認する
・短期継続融資だけに頼らない
・短期継続融資だけに頼らない - 他の資金調達法も検討しよう!Squareの資金調達サービス
- まとめ
短期継続融資とは
短期継続融資は、期日一括返済を条件とする1年以内の短期融資で、手形貸付の書替などにより返済期限を延長する仕組みです。短期継続融資について正しく理解するために、まず金融機関による融資の種類から簡単に整理しておきましょう。
企業は事業を継続・拡大するために、必要に応じて金融機関から資金を借り入れます。この借入には大きく分けると、「短期借入金」と「長期借入金」の2種類があります。
短期借入と長期借入の違い
短期借入とは、1年以内に返済期限が設定されている融資のことです。短期借入は、多くの場合、運転資金などの短期的な資金ニーズに対応する手段として用いられています。
対して、長期借入は1年を超える返済期間が設定されている融資のことです。長期借入は、一般的に設備投資や事業拡大のような中長期的な資金ニーズに対応する手段として用いられています。
短期借入の種類
返済期限が1年以内に定められている短期借入は、さらに以下の三つに分類されます。
- 手形貸付: 金融機関が企業に対して資金を貸し付ける際、企業が手形を発行し、それを担保として資金提供を受ける形式の融資です。主に、運転資金として利用されることが多いです。
- 当座貸越: 金融機関と契約を結び、事前に設定された限度額まで自由に資金を借りられる方式の融資です。企業は必要な時にだけ資金を借りることができるため、余分な借入を防ぐことができます。
- 手形割引: 取引先から受け取った手形を金融機関に売却することで、現金化する方法です。手形割引は、手形の期日前に資金を調達できるため、現金化のスピードが速いという利点があります。
短期借入を継続できるのが短期継続融資
短期継続融資では、金融機関との合意のもとで短期借入の更新を重ねます。
はじめに1年以内の短い期間で手形貸付などの契約を結び、満期時に借入金を一括返済するように定めます。そして、満期の期日が到来したら、また次の期間までの更新手続きをします。このように更新を繰り返すため、契約が続く限り元金を返済することはありません。
なお、金融庁は「正常運転資金(売上債権+棚卸資産-仕入債務)に対して、短期継続融資で対応することは何ら問題ない」としています1。
短期継続融資のメリット
短期継続融資は、企業の資金繰りを円滑にし、経営の安定を支えるための重要な役割を果たしています。この融資制度には、主に以下の二つのメリットがあります。
運転資金が安定する
短期継続融資を活用すれば、売り上げの季節変動や突発的な支出があっても、必要な運転資金を確保しやすくなります。たとえば、繁忙期と閑散期の差が大きい業種では、売り上げが落ち込む期間に資金繰りが厳しくなることがあります。こうした状況でも、短期継続融資を利用すれば、閑散期の資金不足を補いながら、仕入れや人件費をスムーズに支払うことが可能です。
また、短期継続融資は事業が成長し、売り上げが拡大する過程でも役立ちます。たとえば、新規取引先の増加や大口の受注があった際、一時的に仕入れコストが増加することがあります。そのような場面でも、この融資制度を活用すれば、必要な資金の調達が可能になるため、事業の成長機会を逃すことはありません。
定期的な返済が不要
短期継続融資は、通常の短期借入とは異なり、契約の継続中であれば、借入を定期的に更新しながら利用し続けることができます。そのため、証書貸付のように毎月元金の返済が必要になることはありません。また、一定期間ごとに借入を更新するため、資金繰りに負担を与えることもありません。
こうした短期継続融資ならではの特徴は、回収までの期間が長いビジネスモデルの企業にとって、非常に大きなメリットとなります。たとえば、クリニックや介護事業では、診療報酬や介護報酬の入金が数カ月後になることが一般的です。その間の運転資金を確保するために、短期継続融資を利用すれば、安定的に事業が運営できます。
このように、短期継続融資は、資金繰りを柔軟に調整しながら事業を継続的に運営できる融資制度として、多くの企業に活用されています。
短期継続融資のデメリット
短期継続融資には多くのメリットがある反面、利用する際にはいくつかのデメリットも考慮しておかなければなりません。ここでは、短期継続融資について知っておくべき二つのデメリットを紹介します。
期日が延長されないこともある
短期継続融資は、金融機関との合意があれば定期的に更新できますが、必ずしも更新が保証されているわけではありません。 企業の業績が悪化した場合や、貸し手側の経営方針が変わった場合など、さまざまな理由で融資の継続が認められないことがあります。
そのため、短期継続融資に依存しすぎず、 複数の資金調達手段を組み合わせて活用するようにしなければなりません。
利息負担が大きい
短期継続融資は、基本的に毎月の元金返済が不要ですが、その分借入額が減らないため、長期的に見ると金利負担が大きくなる可能性があります。
一般的に、短期借入は長期借入よりも金利が低めに設定されることが多いですが、短期継続融資の場合、返済せずに借り換えを繰り返すため、元本が減らず、結果として支払う利息の総額が増えてしまうことがあります。特に、何年にもわたって短期継続融資を利用し続けると、元本が徐々に減る長期借入に比べ、総支払額が高くなるケースも少なくありません。
また、金融機関によっては融資を更新するごとに手数料が発生する場合があり、それがコスト負担をさらに増やす要因になることもあります。
短期継続融資の注意点
短期継続融資は、企業の資金繰りを安定させる有効な手段ですが、利用する際にはいくつかのポイントに注意しなければなりません。
短期継続保証の制度を確認する
信用保証協会は、短期継続融資を利用する事業者のために「短期継続保証」の制度を設けています。この制度を活用すれば、金融機関からの融資が突然打ち切られるリスクを軽減できます。
ただし、短期継続保証を利用するためには、信用保証協会の審査を通過しなければなりません。財務状況が健全であることなどが求められるため、実際に保証を受けられるかどうかは、事前に確認しておいた方が良いでしょう。
取引金融機関と信頼関係を築く
短期継続融資を受けるためには、金融機関との信頼関係を構築することが非常に大切です。なぜなら、金融機関の判断によって、融資が継続できるかどうかが決まるためです。企業の業績が安定していても、取引銀行の経営方針や審査基準の変更などによって、融資の更新が認められない可能性もあります。
そのため、定期的に決算書や事業計画などを提出し、日頃から金融機関との関係を良好に保つことが重要となります。
短期継続融資だけに頼らない
短期継続融資は、資金調達の一つの手段に過ぎません。これだけに依存してしまうと、万が一融資が継続できなくなった場合には資金難に陥る可能性があります。 そのため、複数の資金調達手段を併用することが大切です。
長期借入金の活用や資金繰りの改善、補助金や助成金など、さまざまな方法を検討すると良いでしょう。
他の資金調達法も検討しよう!Squareの資金調達サービス
短期継続融資は、企業の資金繰りに有効な手段ですが、それだけに依存するのはリスクがあります。迅速かつ柔軟に資金を確保できる「Square 資金調達」の活用を検討するのも有効な選択肢です。
Square 資金調達とは、決済代行会社Squareを利用する事業者向けの資金調達サービスのことです。Squareでの決済履歴を基に審査が行われ、短期間での資金の受け取りが可能です。また、個人事業主でも利用でき、他の金融機関で融資を断られたとしても申し込みができます。さらに、担保や保証人が不要なのも、大きなメリットの一つです。
短期継続融資だけに頼らず、他の資金調達方法も組み合わせることで、より安定した資金繰りが実現できます。自社の状況に合わせ、最適な選択肢の一つとしてSquare 資金調達を活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
短期継続融資は柔軟な資金調達手段の一つですが、継続が保証されているわけではないため、利用する際には他の資金調達手段も視野に入れておくことが大切です。その中でも、Square 資金調達は審査のスピードや担保不要という点で、魅力的な選択肢となります。
自社に合った資金調達方法を見極め、最適な組み合わせで活用しましょう。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2025年2月12日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash