ノーショー (無断キャンセル)とは?キャンセル防止対策をご紹介

※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。

予約の無断キャンセル(ノーショー)は、事業者の頭を悩ませる問題の一つです。しかし適切な対策を導入すれば、無断キャンセルの発生そのものを防げるだけでなく、キャンセル発生時の損失を最小限に抑えられます。そこで今回は、無断キャンセルの現状や背景を理解したうえで、具体的な対策方法、無断キャンセル発生時の対処法を一緒に見ていきましょう。

目次


ノーショー(無断キャンセル)とは?

ノーショー(No Show)とは、​予約したにも​かかわらず、​お客さまが​当日​現れない​ことを​指します。​「無断キャンセル」とも​呼ばれています。​予約当日や​前日などの​キャンセルは​「ドタキャン」と​呼ばれ、​「ノーショー」とは​区別されています。

当日キャンセルとの違い

当日キャンセル(ドタキャン)とノーショーとの主な違いは、「キャンセルの連絡があるかないか」です。予約時間までにキャンセルの連絡があれば、店舗は押さえていた席や部屋を解放して当日の予約を受け付けるなどの対応を取ることができます。それに対してノーショーの場合は、お客さまが来るかどうかがわからないまま枠を確保し続けるため、結果的に売上機会の損失や人件費および材料費の無駄につながります。

ノーショーの​実態

株式会社TableCheckが2020年に行った調査1によると、飲食店を無断でキャンセルした経験のある人は約12%。およそ9人に1人と考えると、決して少なくない割合であり、事業への影響は無視できません。

実際に、経済産業省の有識者勉強会が​2018年に​公表した​レポート2では、​飲食業界で​​「ノーショー」による被害額は推計で​年間2,000億円であり、飲食業従事者全体における賃金の2%強に相当することがわかりました。さらに、​予約1~2日前に​起こる​「ドタキャン」も​合わせると、​その被害額は​1.6兆円にのぼると​推計されています。

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ノーショー(無断キャンセル)が起きる​背景

なぜ無断キャンセルは発生するのでしょうか。事業者側、​そして​お客さま側、​双方の​視点から​背景を考えていきましょう。

キャンセル料金の​未設定

ホテルや​旅館では​キャンセル料金を​明示している​施設が​多いですが、​飲食店や​美容室、​ネイルサロンなどで​キャンセル料金を​設定している​ところは​まだ​あまり​多くは​ありません。​お客さまから​「感じが​悪い」と​思われる​ことを​懸念して​キャンセル料金を​設定していない​店舗も​多いのではないでしょうか。

予約情報の​証拠が​残らない

グルメサイトや​お店の​公式サイトからの​予約で​あれば​記録は​残る​ものの、​予約者が​登録した​メールアドレスや​電話番号が​虚偽の​ものであると、​相手を​突き止めるのは​難しいでしょう。​また、​電話予約などの​場合は​やりとりが​残らないため、​「言った​言わない」で​トラブルになる​ことも​あり得ます。

「とり​あえず​予約」が増えた

先ほどのTableCheckの​調査に​よると、​無断キャンセルをした理由の第1位は「とりあえず場所確保のため予約」、無断キャンセル時の予約手段としてもっとも多いのは​「グルメサイト」だとわかりました。同調査の発表資料では「気軽に予約できるグルメサイトでは有効なキャンセル防止の仕組みが整備されていない」と指摘されていることからも、無断キャンセルの大きな要因は予約のしやすさそのものではなく、キャンセルに対する防止策がないことだといえるでしょう。

お客さまがキャンセルできなかった

お客さまの​なかには、​店舗の​営業時間内に​電話連絡を​する​ことができなかったり、​突然の​体調​不良や​不測の​事態で​来店が​できなかったりする​場合も​あります。

うっかり​キャンセル

故意にではなく、​予約した​こと自体を​忘れてしまったり、​予約システムからの​予約成立メールを​見逃して​予約が​成立していない​ものと​勘違いを​して​現れなかったりなどの​「うっかり​キャンセル」も​起こり得ます。

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ノーショー(無断キャンセル)の7つの対策方法

こうした現状を背景に、​店舗側が取れる対策は複数あります。考えられる方法を見ていきましょう。

(1) 事前決済でトラブルを未然に防ぐ

予約と​同時に​決済を​完了させる事前決済は、​無断キャンセルを​防ぐ​有効な​手段です。さまざまな予約システムが事前決済機能を提供しており、「Square 予約」もその一つです。

(2) クレジットカード情報の入力を必須にする

宿泊施設ではネット予約時にクレジットカード情報の入力を求めるケースが多く、それが無断キャンセルの抑止に一役買っています。飲食業や美容サロンなどでも同様のシステムを導入すれば、​「とりあえず予約しておこう」という軽い気持ちでの予約を減らせるでしょう。予約システムのなかには、実際に無断キャンセルが発生した際にキャンセル料金を課金できる​機能も​あります。たとえば、前述の「Square 予約」でも、キャンセルポリシーに​沿ってお客さまが事前に登録したクレジットカードに​キャンセル料金を請求できる​機能を提供しています。

予約管理はSquare 予約で

Squareの予約管理は無料から導入でき、事前決済はもちろん、有料プランの場合はキャンセル料も取れるので、ノーショー対策もできます。専用アプリでも、お使いのブラウザでも、場所を問わず、どこでも予約の状況を確認、調整できます。

(3)メールや​電話で​リマインドする

予約方法の​種類に​こだわらず、​予約の​3日前や​前日などに、​予約した​お客さまに​電話や​メールなどで​リマインドを​行う​ことも​無断キャンセルを​防ぐのに​効果的です。​あくまで​「おもてなし」の​精神で、​丁寧に​来店を​促すようにしましょう。

(4)キャンセルポリシー、​キャンセル料を​明示する

キャンセルに​関する​注意事項を​まと​めた​ものを​「キャンセルポリシー」と​いいます。​予約サイトや​自社サイト、​さらに​SNSでも、​お客さまに​確認しやすい​場所に​キャンセルポリシーを​示す​ことが​大切です。​また、​電話での​予約でも、​きちんと​お客さまに​口頭で​説明を​し、​理解して​もらいましょう。​店頭での​予約で​あれば、​キャンセルポリシーを​明記した​チラシなどを​手渡すのも​一つの​手段です。

キャンセルポリシーには、​以下の​項目を​明示しましょう。

  • キャンセル発生時の​連絡方法や​連絡先
  • キャンセル可能期間
  • キャンセル可能期間が​過ぎた際の​キャンセル料金
  • キャンセル料金の​請求方法

キャンセル料の相場や決め方はのちほど解説します。

(5)キャンセルが​簡単に​できるようにする

たとえば、​電話だけで​予約を​受け付けている​店舗では、​お客さまは​営業時間内に​連絡を​する​必要が​あります。​お客さまの​都合に​よっては、​営業時間内に​電話を​する​ことが​難しい​ことも​あるでしょう。​メールや​SNSの​ダイレクトメッセージでも​キャンセルを​受け付けるように​すれば、​お客さまは​空いた​時間に​連絡を​入れる​ことができます。また、​予約システムの​なかには、​クリックするだけで​簡単に​キャンセル手​続きが​できる​サービスも​あります。

(6) キャンセル待ちリストを作成する

キャンセルの発生に備えてキャンセル待ちリストを作るのも有効な対策の一つです。ただし、無断キャンセルの場合は急な空きとなるため、手動管理のリストではお客さまを見つけるまでに手間や時間がかかるかもしれません。

そこで重宝するのが、予約システムのキャンセル待ち機能です。キャンセルが​発生すると、​リスト上のお客さまが自動で繰り上がったり、空きの発生を伝えるメールが一斉配信されたりするため、忙しい営業時間内でも空きを埋める労力を最小限に抑えられます。

(7) 回収代行サービスや​無断キャンセル保険を​利用する

キャンセルに​よる​損害を​取り戻す方法と​して、​キャンセル料回収代行サービスを​利用する​手も​あります。​多くは​弁護士事務所が​サービスを​提供しており、​無断キャンセルで​困っている​店舗は​相談してみるのも​よいかもしれません。​また、​予約システムの​なかには、​無断キャンセルの​キャンセル料を​補償する​サービスを​提供している​ものも​あります。

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ノーショー(無断キャンセル)が​起きたら​どうするか

いくら万全な対策をしても、ノーショーが発生する可能性はゼロにはなりません。いざというときに適切に動けるよう、あらかじめできる​ことを知っておきましょう。

空きを無駄にしないためにできること

キャンセル待ちのお客さまに案内する以外にも、SNSで空きの​情報を​発信する手があります。今空いている枠を埋めるという性質上、スピードが勝負です。できるだけ多くの人の目に触れるよう、コンテンツやハッシュタグ、投稿の仕方などを工夫しましょう。また近隣の店舗や宿泊施設にも空き情報を速やかに共有すれば、満席あるいはダブルブッキングで断らざるを得ないお客さまに案内してもらえるかもしれません。

急に空いた人手や時間をチャンスだと捉えるのも一つの手です。忙しくて後回しにしてきたタスクや、普段は手が回らない細かな場所の掃除など、時間や人手があるからこそできる業務は意外と多いもの。気持ちを切り替えて、未来のお客さまによりよいサービスを提供する準備を進めましょう。

キャンセル料を請求する

ノーショー対策としてキャンセルポリシーやキャンセル料を明示している場合は、それに沿って実際にキャンセル料を請求できます。

ただし、キャンセル料の回収が難しいサービスもあります。たとえば、​商品の​購入予約の​場合、​キャンセルが​発生しても​別の​購入者に​販売すれば​損害が​生じないため、​キャンセル料を​設定していても​無効と​される​ことが​あります。また、エステや語学教室などの​サービスは​特定商取引法の​対象と​なっており、​キャンセル料金の​上限3が​定められています。

キャンセル料の相場は?

ここで、キャンセル料の定め方についても理解しておきましょう。

ノーショーに対する損害賠償の考え方

一般的には、​予約を​申し込み、​それを​店舗が​承諾した​時点で​お客さまとの​間で​契約が​成立すると​考えられます。​一方的な​キャンセルに​よって​損害が​出た​場合、​民法第415条の​債務不履行、​もしくは​第709条の​不法行為に​あたると​して、​店舗側が​損害賠償請求を​行う​ことができると​考えられています。

しかしながら、​店舗側が​法外な​キャンセル料金を​請求する​ことは、​消費者契約法で​禁止されており、​店舗側が​平均的な​損害額を​超えて​キャンセル料金の​請求を​行う​ことは​できません。​​店舗側が​お客さまに​請求できる​キャンセル料金は、​契約の​解除に​伴う​平均的な​被害額の​範囲に​抑えられます。

キャンセル料の​具体的な​金額の​決め方

キャンセル料金は、​前述の​通り​「平均的な​損害の​額」から​算出します。​前日や​当日に​キャンセルの​連絡が​あった​場合、​代わりに​他の​お客さまに​サービスを​提供するなど、​損害を​補填できる​可能性が​ある​ため、​コース料金や​プラン料金の​全額を​請求するのは​難しいでしょう。​一方で、​連絡のない​無断キャンセルの​場合は、​席や​会場を​空けたまま​お客さまを​待っていたりなど、​損害を​補填できる​可能性は​かなり​低くなる​ため、​全額を​請求する​ことが​多いようです。

キャンセル料については、「予約キャンセル料は​いくらが​適正料金?​直前・無断も​含めた​対策を​紹介」でも詳しく解説しています。

まとめ

今回紹介した対策のなかには、メールや電話でのリマインドなど今すぐに始められるものもあります。また、事前決済やクレジットカード情報の入力、キャンセル手続きの簡素化、キャンセル待ちリストの作成などは、予約システムを導入することで一気に実現する対策です。ぜひ検討してみてください。


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執筆は2022年3月22日時点の情報を参照しています。2024年12月13日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash