予約キャンセル問題に悩まされている経営者にとって、キャンセルに関するトラブルの防止や、リスク軽減のために重要なのが「キャンセルポリシー」の存在です。キャンセルポリシーをしっかり定めて、予約時に伝えておくことで、無断キャンセルなどによる被害を減らすことにつながります。
この記事では、キャンセル対策を考えている飲食店やサロン、美容院などの経営者に向けて、キャンセルポリシーの書き方について、具体的な例文も含めて紹介します。
目次
- キャンセルポリシーとは
- キャンセルポリシーの役割と、明記する理由
・キャンセルによる損失を回収できる
・キャンセルの方法を分かりやすく伝える
・無断キャンセルを事前に防止できる
・他の予約を受け付けることができる - キャンセルポリシーを書くときのポイント
・キャンセル受付期間を設定する
・キャンセル時の対応を詳細に書く
・誤解を生む表現は避ける
・不測の事態によるキャンセルの場合の対応も書く
・遅刻した場合の対応も書く
・予約時にキャンセルポリシーを伝える - キャンセルポリシーの例文(テンプレート)
・飲食店向け
・サロン・美容院向け - キャンセル防止のためにできること
・リマインドメールを送る
・キャンセルしやすい予約システムを採用する
・予約システムの事前決済を利用する
・無断キャンセル保証を利用する
キャンセルポリシーとは
キャンセルポリシーとは、店舗側が定める「予約がキャンセルとなった場合のルール」のことです。キャンセル料の有無や注意事項などを定めて明記します。
キャンセルポリシーの役割と、明記する理由
キャンセルポリシーには、以下の大きく四つの役割があります。しっかりと定めておくことで、直前キャンセルや無断キャンセルの発生を減らす効果が期待できます。
キャンセルによる損失を回収できる
当然のことですが、予約のキャンセルは売上機会の損失となります。特に、直前のキャンセルや無断キャンセルの場合、新たな予約を受けることは難しいでしょう。飲食店であれば、下ごしらえをした食材を破棄することになるかもしれません。美容院や美容サロンであれば、予約に合わせてシフトに入ったスタッフの人件費が発生します。売り上げが入らないだけでなく、材料費や人件費といった損失はお店にとって大きなダメージになります。
キャンセルポリシーの中でキャンセル料を明示しておくことで、キャンセル料金を請求し、損失をある程度回収することができます。。
キャンセルの方法を分かりやすく伝える
お客様の都合が悪くなったり、予定が変わったりなど、キャンセルの発生自体は避けられません。キャンセルの受付期間や受付方法をキャンセルポリシーに明記したうえで、ホームページやSNS、予約確認メールなどに掲載し、お客様がすぐ確認できるようにしておきましょう。「キャンセルしたいけど、連絡方法が分からなかった」「キャンセル期間が書いてないから、いつでもキャンセルできると思った」といったトラブルを防止し、キャンセルをしたいお客様のニーズに応えられます。
無断キャンセルを事前に防止できる
キャンセル料が発生することが分かれば、お客様はキャンセル料が発生しない時期にキャンセルをするようになり、直前キャンセルや無断キャンセルの予防につながるでしょう。。
他の予約を受け付けることができる
無断キャンセルや直前キャンセルが減り、キャンセル受付期間内にキャンセルが入るようになれば、キャンセル待ちをしているお客様に連絡をする余裕が生まれます。キャンセルで空いた時間帯や席に他のお客様を受け入れることで、損失が発生せず、売り上げが確保できます。
キャンセルポリシーを書くときのポイント
具体的にどんなキャンセルポリシーを作ればいいかを考えていきましょう。キャンセルポリシーに盛り込みたいポイントをお伝えします。
キャンセル受付期間を設定する
キャンセル料が発生しない期間を設け、明示しましょう。早めのキャンセルを促すことができます。キャンセル期間を考えるときには、「次のお客様の予約を入れる余地がある日数」を設定するのがポイントです。
たとえば、飲食店のコース料理など、事前に食材の仕入れや仕込みがある場合は「予約日3日前の17時まで」と余裕を持って設定し、ネイルサロンのように飛び込みのお客様が予想できる場合には、「予約時間の1時間前まで」キャンセルを受け付ける柔軟な設定にしてもいいでしょう。
キャンセル時の対応を詳細に書く
お客様がキャンセルをしたい場合に、どんな手続きが必要なのかを分かりやすくまとめます。
キャンセルをする方法
「予約日の前日までなら予約システム経由でキャンセルが可能」「予約当日の場合は必ず電話をしてください」など、どんな方法で予約を受け付けているのかを明示しましょう。
キャンセル料が発生する場合、いくらなのか?
7日前までのキャンセルは0%、3日前までは10%、前日は50%、無断キャンセルは100%のように、基準を明確にして記載します。具体的かつ適切な額になるよう考えましょう。料金設定に関しては「予約キャンセル料はいくらが適正料金?直前・無断も含めた対策を紹介」の記事も参考にしてください。
キャンセル料の請求方法
キャンセル料が発生した場合の請求方法を記載します。事前に振り込みやクレジットカード決済でお客様が利用料金を支払済みの場合は、「キャンセル料金を差し引いた金額を返金します」などと記載できます。事前決済を利用していない場合は、予約時に記入したメールアドレスや住所宛に「請求書を送付します」と記載するなど、具体的な請求方法を説明しましょう。
誤解を生む表現は避ける
トラブルを避けるためにも、あいまいな表現や誤解を生む表現は避けます。たとえば、「なるべく早くご連絡ください」だと、いつまでにキャンセルの連絡をすればいいか明確ではありません。「予約日の3日前までに電話でご連絡ください」のように、数字を用いて記載しましょう。
不測の事態によるキャンセルの場合の対応も書く
悪天候や災害、不測の事態によるキャンセルについては、「キャンセル料は発生しません」といった一言をキャンセルポリシーに入れておくことで、お客様の安心につながるでしょう。
また、新型コロナウイルス感染症の状況を考慮して、「発熱などの体調不良により急に来店が難しくなった際には、直前でもご連絡ください。その場合のキャンセル料はいただいておりません」という一文を入れておくと、少しでも体調に異変を感じたお客様はキャンセル料を気にすることなくキャンセルの連絡ができ、お店にとっても感染症対策になります。
遅刻した場合の対応も書く
「10分以上遅れる場合は、ご連絡お願いします」「15分以上経過の場合、キャンセル扱いとさせていただきます」「予約時間を過ぎての来店は、サービス提供時間を短縮させていただく場合があります」など、遅刻したらどうなるのかも明示しておくと、その場での対応に迷わずにすみます。
予約時にキャンセルポリシーを伝える
キャンセルポリシーを定めたら、お客様が必ず目にするところに掲載します。
インターネット経由の予約の場合、予約確定の前に「キャンセルポリシーに同意する」というチェックボックスを準備したり、予約確認メールにキャンセルポリシーを載せたりするといった方法があります。
電話や店頭での予約の場合、手間はかかっても口頭で伝えておきましょう。店頭での予約であれば、ショップカードやチラシに記載して渡すのもおすすめです。
キャンセルポリシーの例文(テンプレート)
前述のポイントをふまえて、キャンセルポリシーの例文を「飲食店向け」「サロン・美容院向け」の2パターン用意しました。自店舗でキャンセルポリシーを作成する際の参考にしてみてください。
飲食店向け
ご予約のキャンセルや変更のご連絡は、お電話とメールにて承っています。
【コース料理をご予約の場合】
コース料理のご予約については、前日以降のキャンセルはキャンセル料が
発生する場合があります。2日前までのキャンセルや人数変更・メニュー
変更は無料で承っていますので、お気軽にご連絡ください。
・前日キャンセルの場合:ご予約コース料金の10%
・当日キャンセルの場合:ご予約コース料金の50%
なお、連絡のない状態での無断キャンセルにつきましては、
予約金額の80%をご請求いたします。
【ご来店の遅れについて】
やむを得ないご事情でご予約時間に遅れる場合は、判明した時点
で早めにご連絡ください。ご連絡がなく、予約時間の15分を超えて
も来店されない場合は、無断キャンセルとさせていただきます。
【悪天候や自然災害時の対応について】
急な天候不良や自然災害などによりご来店が難しい場合は、
その旨をご連絡いただければ、当日のキャンセルでもキャンセル料
は発生しません。落ち着いてから、またのご予約をお待ちしています。
サロン・美容院向け
ご予約のキャンセルや日時変更は、前日の営業時間内(20:00まで)
までにご連絡をお願いします。
ご連絡は、お電話・メール・公式LINEにて承っています。
当日キャンセルにつきましては、下記のキャンセル料が発生します。
・当日のキャンセルまたは日時変更の場合:施術料の30%
・無断キャンセルの場合:施術料の50%
【遅刻について】
万が一ご予約時間に遅れる場合は、判明した時点で早めにご連絡ください。
予約時間を15分を超えても来店されない場合やご連絡がない場合は、
無断キャンセルとさせていただきます。
また、遅れて来店された場合、ご予約のメニューよりも提供時間が
短くなることや、ご予約のメニューを提供できないことがありますので、
ご了承ください。遅刻を繰り返される場合、次回のご予約をお断りさせ
ていただくことがあります。
【注意事項】
悪天候により交通機関が遅延・運休した場合は、その旨お電話で
ご連絡いただければ、キャンセル料は発生しません。
キャンセル防止のためにできること
キャンセルの発生防止については、キャンセルポリシーを設ける以外にもさまざまな方法があります。キャンセルポリシーと合わせた導入を検討してみてください。
リマインドメールを送る
「うっかり予約を忘れていた」という無断キャンセルを防ぐため、来店の1週間前・3日前・前日などにリマインドメールを送りましょう。予約システムの中には、自動でリマインドメールを送ってくれる仕組みもあるので、そういったサービスを使えば手間もかかりません。
キャンセルしやすい予約システムを採用する
キャンセルの受付が電話のみだと、営業時間内に電話ができないお客様にとっては「キャンセルの連絡がしたいのに、このままでは無断キャンセルになる」という状況が生まれてしまいます。メールやSNSのダイレクトメッセージ、予約システムなど、営業時間外でもキャンセルができる仕組みを整備しておくとお客様に親切です。
たとえば、キャンセルが入り次第、自動的に繰り上げ処理が行われたり、キャンセル待ちをしているお客様に空きが出たことを連絡してくれたりする機能を備えている予約システムもあります。予約システムを活用することで、予約受付やキャンセル処理にかかる手間を大幅に減らせるでしょう。
予約システムの事前決済を利用する
キャンセル料の請求書を送付しても、支払いを拒否するお客様がいるかもしれません。キャンセル料を確実に回収するためには、事前決済機能付きの予約システムの利用が有効です。キャンセルが発生しても、事前に決済した金額の中からキャンセル料を差し引くことができるので、お店の損失も少なくなります。
たとえば、予約システムのSquare 予約なら、無料で事前決済に対応した予約ページを作成できます。「利用メニューは当日決めたい」など、利用料金が当日にならないと分からない場合は、Square 予約の「無連絡キャンセルの防止」機能が役立つかもしれません。この機能では予約時にお客様がクレジットカード情報を入力します。無断キャンセルや直前キャンセルが起きた際には、キャンセルポリシーに沿って該当するカードにキャンセル料金を課金することができます。有料機能ですが、キャンセル料金の徴収に悩んでいるお店では導入を検討してみてはいかがでしょうか。
無断キャンセル保証を利用する
「無断キャンセル保証」を提供しているサービスもあります。無断キャンセルを繰り返す悪質な予約者に困っているお店や、キャンセルの割合が多い店舗の場合は、利用を検討してみてもよいかもしれません。
キャンセルポリシーを適切に定め、周知することは、機会損失を防ぎ、お客様とのトラブルを防ぐ効果が期待できます。予約システムやキャンセルポリシーを上手に活用して、店舗の利益を最大化しましょう。
予約管理はSquare 予約で
Squareの予約管理は無料から導入でき、事前決済はもちろん、有料プランの場合はキャンセル料も取れるので、ノーショー対策もできます。専用アプリでも、お使いのブラウザでも、場所を問わず、どこでも予約の状況を確認、調整できます。
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執筆は2022年4月5日時点の情報を参照しています。2023年6月27日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash