源泉徴収票をなくした?!再発行のためにできる手続きと対処

※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。

源泉徴収票は大切な書類ですが、使う機会が限られていることから、「もらったはずなのに見つからない」「うっかり無くしてしまった」というトラブルが起こりがちです。結論からいえば、源泉徴収票は再発行が可能です。

今回は、主に源泉徴収票をなくしてしまった人に向けて、どのように対応したらよいのかについて解説します。

目次


源泉徴収票とは?

はじめに、源泉徴収票がどのようなものなのか、簡単に説明します。

大まかにいえば、「会社からもらったお金と、自分が支払った税金の金額がわかる書類」です。源泉徴収票には、支払金額(年収)や、社会保険料などの金額、源泉徴収税額などが記載されています。源泉徴収票に書かれている数字は、会社が年末調整を行った最終結果となります。

源泉徴収票はいつ必要?

源泉徴収票が必要になるケースとして、以下の例が挙げられます。

(1) 確定申告をするとき
(2) 住宅ローンを組むとき
(3) 賃貸契約をするとき
(4) 扶養に入るとき
(5) 転職や再就職をするとき
(6) 配偶者(特別)控除を受けるとき
(7) 子どもを保育園に預けるとき

(1) 確定申告をするとき
会社を退職して個人事業主になった場合、確定申告をしなければなりません。確定申告では1年間の所得と所得税を計算し、翌年の2月16日から3月15日に税務署に報告します。その際、申告内容に源泉徴収税額を記載するため、源泉徴収票が必要です。

また、会社員だったとしても、確定申告を行うべきケースがあります。たとえば、以下の例に当てはまった場合は申告が必要となります。

・1年間の給与の収入金額が2,000万円を超えたとき
副収入が20万円を超えたとき
・年の途中で会社を退職して、年末調整を受けていない場合
・2カ所から給与をもらっているとき
・住宅ローン控除を受けたいとき
・医療費控除を受けたいとき

なお、2019年4月1日以後、納税者の負担軽減策として、確定申告書提出には源泉徴収票の添付が不要となりました。ただし、税務署などで確定申告書を作成しようとする場合には、源泉徴収票が必要となるため、注意が必要です。

参考:国税関係手続が簡素化されました(国税庁)

(2) 住宅ローンを組むとき
住宅ローンの審査において、収入は大事な確認項目の一つです。源泉徴収票は、その人の年収を証明できる書類であることから、銀行から提出を求められることがあります。なお、正式な書類であることを証明するために「社印」が必要となる場合があります。融資先から社印を求められた場合は、発行元に連絡をした上で、社印を押してもらえるよう依頼しましょう。

(3) 賃貸契約をするとき
賃貸契約をする場合も、入居審査で年収を確認するために、源泉徴収票が必要となる場合があります。

(4) 扶養に入るとき
家族の扶養に入るには、「年間の合計所得金額が48万円(2019年分までは38万円)以下であること。給与のみの場合は給与収入が103万円以下であること」という条件があります。この条件にあてはまることを証明するために、源泉徴収票が使われます。

(5) 転職や再就職をするとき
前の会社から1年以内に新しい会社に入社するとき、前職の源泉徴収票の提出が求められます。理由としては、新しい会社で年末調整を行う際に、前の会社の源泉徴収額と合わせる必要があるからです。

(6) 配偶者(特別)控除を受けるとき
一定の条件を満たし、配偶者の1年間における合計所得金額が48万円(2019年分までは38万円)以下である場合、「配偶者控除」を受けることができます。また、配偶者控除が受けられなくても、所得金額によって一定の控除を受けられる「配偶者特別控除」という制度もあります。配偶者の所得を確認するために、源泉徴収票が求められます。

(7) 子どもを保育園に預けるとき
子どもを保育園に入れようとするとき、年収を確認するために、源泉徴収票の提出を求められる場合があります。また、認可保育園の場合は親の収入によって保育料が決まります。年収を証明するために、源泉徴収票が使われます。

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源泉徴収票の再発行手続き

源泉徴収票の再発行は、役所や税務署では受け付けていません。会社の経理担当部署に連絡をとり、「源泉徴収票を再発行してほしい」旨を伝えましょう。会社を退職している場合でも、手続きは同じです。

原則的には、依頼すれば、ちゃんと必要枚数分を発行してもらえます。注意点として、欲しい源泉徴収票の「年度」を間違えないように気をつけましょう。

源泉徴収票の再発行自体には、法定の手数料などはないため、無料で行ってもらえます。ただし、会社によっては郵送料などを求められる場合もあるため、念のため確認するといいでしょう。

なお、源泉徴収票の再発行依頼は、本人でなくても行うことができます。円満退職ではなかったなど、どうしても自分で依頼するのが難しいという場合は、新しい会社の経理担当者や税理士にお願いするという方法があります。ただし、源泉徴収票を紛失した責任は本人にあるため、できるだけ自分で対応することをおすすめします。

源泉徴収票の再発行を拒否されたときの対処

基本的に、源泉徴収票は依頼すれば発行してもらえます。しかし、何らかの事情で、会社から再発行を断られるケースがあります。

このような場合は、税務署に相談をしましょう。具体的には、「源泉徴収票不交付の届出書」を税務署に提出します。その際、給与明細書がある場合は、給与明細書のコピーもいっしょに添付します。

届出が受け付けられれば、税務署から会社に行政指導してもらうことができます。届出書は、国税庁のサイトからダウンロードが可能です。

参考:[手続名]源泉徴収票不交付の届出手続(国税庁)

会社が源泉徴収票を発行しない場合、所得税法第226条違反となります。罰則規定として、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が設けられています。

(源泉徴収票)第二百二十六条
4 第一項の給与等、第二項の退職手当等又は前項の公的年金等の支払をする者は、これらの規定による源泉徴収票の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の承諾を得て、当該源泉徴収票に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の請求があるときは、当該源泉徴収票を当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者に交付しなければならない。

引用:所得税法(e-Gov)

会社が倒産している場合は破産管財人に依頼する

会社が倒産していても、源泉徴収票の再発行は可能です。その場合は、破産管財人に依頼をすることになります。どうしても破産管財人に連絡がつかないという場合は、税務署に前述の「源泉徴収票の不交付の届出書」を提出しましょう。

源泉徴収票の再発行する側がすること

源泉徴収票の発行は法律上で義務付けられており、再発行の場合も同様です。再発行に応じない場合は税務指導を受ける可能性もあるので、速やかに対応しておくといいでしょう。

参考:給与所得の源泉徴収票等の交付義務(国税庁)

場合によっては依頼者に支払った給与額などの情報が保存されておらず、過去の給与明細を探し、見返し、支払額の合計を出す……という作業がもしかしたら発生するかもしれません。

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源泉徴収票は、なくしても再発行が可能です。会社が従業員に源泉徴収票を発行するのは法律に基づいた義務であるため、依頼すれば、問題なく発行してくれるはずです。しかし、一番大事なのは、紛失しないことです。再発行してもらった源泉徴収票は、今度こそなくさないように、大切に保管しましょう。

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執筆は2020年3月13日時点の情報を参照しています。2023年9月7日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash